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進化した2作目 イン・コモン [北アメリカ]

In Common  Walter Smith III & Matthew Stevens.jpg   In Common IN COMMON 2 WALTER SMITH III, MATTHEW STEVENS, MICAH THOMAS, LINDA MAY HAN OH, NATE SMITH.jpg

テナー・サックスのウォルター・スミス3世と
ギターのマシュー・スティーヴンスのユニット、イン・コモンの2作目。
ニュー・ヨークの精鋭たちが顔を揃えた、
新世代によるコンテンポラリー・ジャズ・クインテットであります。
前作のクインテットの3人、ハリシュ・ラガヴァン(b)、マーカス・ギルモア(ds)、
ジョエル・ロス(vib)から、今回はミカ・トーマス(p)、リンダ・メイ・ハン・オー(b)、
ネイト・スミス(ds)に交代しています。

前作同様、今作もウォルターとマシューのデュオでアルバムをスタートしていますけれど、
前作がエレクトリック・ギターだったのに対し、今回はアクースティック・ギターを使用。
ほかの曲でも、マシューはアクースティック・ギターを弾く場面が増えています。
今作は、マシューのギターがグッと前にせり出してきていて、
前作よりアンサンブルの風通しがよくなり、演奏もフレキシブルになりましたね。

実は本作が届くまで、3か月もかかるというすったもんだがあったんです。
バンドキャンプでオーダーするも、ひと月経っても届かず、
再送するとの返事をもらって、ようやく送られてきたと思ったら、中身は1作目の方。
「オーダーしたのは、新作だよ?」とクレームを言って、
「ごめん、ごめん、すぐ送るから」と返事をもらうも、またそれから延々待たされ。
国内で買った方がよっぽど早かったわけなんですけど、
待っている間、1作目をもう1度聴き返してみたら、いろいろ感じるところもありました。

1作目の方は、アンサンブルの整合感がありすぎて、
緊張感に欠ける印象があったんですよね。
それで、実はあまり聴き込んでいなかったんですが、
ジョエル・ロスが豊かな色彩感を生み出しているのはさすがだなと、あらためて思ったり。
全体におとなしめの楽曲が多かったせいか、
マーカスのドラミングも本領を発揮できなかったというか。
変拍子の曲などで、もっとアンサンブルをかき回してくれたら良かったんだけど。

やはり2作目の方が、アンサンブルの熱量が上がりましたね。
ネイト・スミスのドラミングが、それぞれのメンバーをよくプッシュしているし、
マシューのギターのエッジが立っていて、
前作のスモーキーなトーンとは音色を変えて、かなり攻めていますよ。

アンサンブルに自由度が増したぶん、メンバーそれぞれのプレイも
闊達になっているのを感じます。サウンドのバランスをとることに神経が向かいがちな
ウォルターのテナー・サックスも、けっこうハジけたブロウを聞かせているし。
作曲と即興のバランスも、前作が作曲寄りの比重だったのが、
今作はイーヴンになった印象で、うん、今回の方が断然いいな。

In Common "IN COMMON: WALTER SMITH III, MATTHEW STEVENS, JOEL ROSS, HARISH RAGHAVAN, MARCUS GILMORE"
Whirlwind Recordings WR4728 (2018)
In Common "IN COMMON 2: WALTER SMITH III, MATTHEW STEVENS, MICAH THOMAS, LINDA MAY HAN OH, NATE SMITH"
Whirlwind Recordings WR4755 (2020)
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