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エチオ・ヒップ・ホップの記念碑 リジ・ミケル・ファフ [東アフリカ]

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エチオ・ヒップ・ホップ・シーンを牽引するラッパー、
リジ・ミケル・ファフ待望の新作が、6年ぶりに届きました。
15年のデビュー作“ZARE YIHUN NEGE” はエチオピアで大ヒットを呼び、
ヒップ・ホップ・アルバムでこれほど幅広い層に受け入れられたのは、
エチオピア初という評判が伝わってきています。

その評判がよくわかるのは、全曲メロディアスで、
いわゆる歌ものヒップホップといえるアルバムだったからです。
男女シンガーが数人フィーチャリングされて、
エチオピアらしいメロディがちらりと顔をのぞかせる場面もあるものの、
バックトラックのサウンドは、R&Bやダンスホール・レゲエが支配していました。

それが、今回のセカンド作ではどうです。
エチオピア色をぐっと前面に押し出し、
これぞエチオ・ヒップ・ホップといえるスタイルを打ち出しているじゃないですか。

オープニングの‘Naniye’ から、
エスケスタ(肩を大きく動かすダンス)を誘うビートが手招きします。
3曲目の‘Addis Ababa’ ではアムハラのリズムにのせて、
男性シンガーとマシンコをフィーチャーし、4曲目の‘Hager’ はグラゲのリズム、
5曲目はエチオピア色濃厚なメロディで、エチオ・ヒップ・ホップを主張しています。
メロディや旋法ばかりでなく、ヒップ・ホップのビートに
エチオピアのリズムを接続させているところに、リジ・ミケルの個性が光っています。

86年アディス・アベバ生まれのリジ・ミケル、愛称ファフは、
高校卒業後にIT業界で働き、その後音楽業界に転身したというラッパー。
多くのステージ経験を積んで、MCとしてエンタテイナーの素養を磨き、
エチオピア音楽とヒップ・ホップを融合させたユニークなスタイルで人気という評判も、
デビュー作を聴くかぎり、あまりピンとこなかったのが正直なところでしたけれど、
2作目でその個性を如何なく発揮しましたね。

エチオ・ヒップ・ホップの記念碑となる作品の登場に、拍手です。

Lij Michael (Faf) "ATGEBAM ALUGN" Queen’s no number (2021)
Lij Michale (Faf) "ZARE YIHUN NEGE" Adika no number (2015)
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