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タラヴァの現場から トラボイン・メハイ [東ヨーロッパ]

Traboin Mehaj  KËNGË DASMASH.jpg

前回に続き、コソヴォのタラヴァです。
こちらはメダよりだいぶ若い歌手で、トラボイン・メハイと読むのでしょうか。
ネット検索しても、あまり情報がなく、本作がデビュー作なのかもしれません。

全9曲、どれもメロディがオリエンタル色濃厚で、タラヴァらしさ満点。
う~ん、いいねぇ。リスナーをグイグイとダンスに誘いますよ。
9曲ともすべてメドレーで繋いで、ノン・ストップ形式でラストまで突っ走るのは、
エドナ・ラロシの『ライヴ』と同じスタイルですね。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2021-04-18
本作は、ライヴとタイトルに謳ってはいませんが、
タラヴァお約束のダンス・オリエンテッドなアルバムであります。

曲間をつなぐシンセの即興パートに、すごく惹きつけられるんです。
ズルナやドゥドゥクのような管楽器を模していたり、
チフテリのような弦楽器を模していたりして、
バルカンらしいサウンドを発揮しているんですけれど、シンセの合成音であることは明らか。
それなのに、生楽器のようなナマナマしい響きがあるから、
シンセ代用とはいえ、すごく魅力的に聞こえるんですよ。

この人のライヴを撮ったYouTubeのアマチュア映像で、面白いのを見つけました。
体育館のような会場で、ステージ上はトラボインただ一人。
鍵盤二台を前に、シーケンサーの自動演奏によって、マイク片手に歌っていて、
曲間のつなぎをトラボイン自身が手弾きで演奏しています。

うわー、こういう超簡素なスタイルが、タラヴァの現場なのね。
面白いのは、観客がほとんど女性で、手を繋いでチェーン・ダンスをしているんですよ。
しかも、全員ステージに背を向けて踊っていて、
誰もステージ上のトラボインに、目をくれもしないという(笑)。
要するにタラヴァの現場は、徹底してダンス目的で、
歌手目当てのコンサートなんかじゃないんですね。

シーケンサー主体の人件費抑制のライヴというと、
エチオピアのレストランでもよく見られる光景といえますけれど、
そのサウンドがけっしてチープに感じず楽しめるのが、タラヴァの強みですね。

Traboin Mehaj "KËNGË DASMASH" Eurolindi no number (2019)
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