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ペルナンブーコの伝統芸能への原点回帰 カスカブーリョ [ブラジル]

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カスカブーリョの新作 !?
え? カスカブーリョって、いまでも活動してたのか!

チェックしてみたら、14年にアルバムを出していたみたい。
それは6年の活動休止期間を経ての復帰作だったようで、
オットーのカヴァーなど、かなりロック色の強い
マンギ・ビート寄りのアルバムに仕上がっていました。
こんなにドラムスを前面に出したアルバムは、かつてなかったですね。
そこからまた7年を経ての新作です。

カスカブーリョが登場した98年は、
ノルデスチ新世代が新たなムーヴメントを巻き越していたさなかでした。
シコ・サイエンスに代表されるマンギ・ビート勢が、ぶいぶいいわせていましたけれど、
ぼくが注目していたのは、マラカトゥ・フラウやココを追及して、
フォークロアな伝統芸能をロック世代の感覚で更新したメストリ・アンブロージたちのほう。

カスカブーリョは、ちょうどメストリ・アンブロージの弟分的存在のバンドで、
インテリな面のある兄貴分に対して、ストリート感覚が持ち味の、
やんちゃな連中という感じがほほえましかったんですよね。
そうそう、デビュー当初のカスカブーリョのヴォーカルは、
シルヴェリオ・ペッソーアだったんですよ。
いまでは、すっかりシルヴェリオ・ペッソーアが有名になったので、
カスカブーリョを知っている人のほうが少ないかも。

で、ひさしぶりに聴くカスカブーリョ、ぜんぜん変わってません。
スタイルこそオーセンティックなノルデスチの伝統音楽だけれど、
そのスピード感やベースが生み出すグルーヴは、ロックを通過した世代のフィールが横溢。
ジャクソン・ド・パンデイロへの敬愛は、デビュー作の冒頭で示していた彼らですけれど、
今作にもオマージュを捧げた曲(‘Na Alma e Na Cor’)があり、
マラカトゥやココのレパートリーなど、デビュー作のサウンドに回帰した感じですね。
メストリ・ガロ・プレートがしわがれ声を振り絞って歌う
‘Tempo De Coco’ が聴きものです。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2018-03-29

Cascabulho  FOME DÁ DOR DE CABEÇA.jpg    Silvério Pessoa  BATE O MANCÁ.jpg
Cascabulho  É CACO DE VIDRO PURO.jpg   Cascabulho  BRINCANDO DE COISA SÉRIA.jpg

シルヴェリオ・ペッソーアは00年に独立して、
01年にソロ・デビュー作“BATE O MANCÁ” を出し、
カスカブーリョのデビュー作の路線を継承する一方、
カスカブーリョは新たなメンバーを加え、02年作の“É CACO DE VIDRO PURO” で、
ミクスチャー感覚に富んだサウンドを押し出してきました。

ピファノ奏者が新メンバーに加わったことにより、ノルデスチの色合いがさらに濃くなり、
土臭い伝統芸能をディープに追及しつつ、そこにロックやヒップ・ホップのセンスを
取り入れていくカスカブーリョのミクスチャー・サウンドが花開いた傑作でした。
このセカンド作には、トム・ゼー、ナナ・ヴァスコンセロス、
マルコス・スザーノがゲスト参加していたんですよね。
このアルバムは、ドイツのピラーニャからもリリースされました。

ドラムスが加わった08年作の“BRINCANDO DE COISA SÉRIA” では、
前作の路線を継承して、土臭いマラカトゥやブラス・セクションを加えたフレーヴォなど、
多彩なアレンジでノルデスチ・ミクスチャーを楽しめる快作となっていました。

新作は、ミクスチャー路線は影を潜め、
オーセンティックなスタイルのデビュー作のサウンドに回帰した作品といえるのかな。
次作はもう少し短いインターヴァルで、
カスカブーリョ流ミクスチャー・サウンドを聞かせてくれることを期待しています。

Cascabulho "FOGO NA PELE" 7 Claves Produçðes no number (2021)
Cascabulho "FOME DÁ DOR DE CABEÇA" Mangroove MR0020 (1998)
Silvério Pessoa "BATE O MANCÁ" Natasha 789700903402 (2001)
Cascabulho "É CACO DE VIDRO PURO" Via Som Music VS200218 (2002)
Cascabulho "BRINCANDO DE COISA SÉRIA" no label CDBA406 (2008)
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