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デビュー作は朱盤でなく青盤で ルシベラ [西アフリカ]

Lucibela  2018.jpg   Lucibela   2019.jpg

わーい、ルシベラの新作が出たよと、ソッコー買ってきたら、なんと早とちり。
18年のアルバム(青盤)に1曲を追加し、
ジャケットを変えて出し直した19年新装版(朱盤)でした。
なんだよ~、それ~。こんなの、いつの間に出てたの?
新曲‘Cupim Sab’ のミュージック・ヴィデオが公開されたばかりだったから、
てっきり新作だとばかり、思いこんじゃったじゃないの。

ちぇ~、しかたないから、このアルバム、紹介しておきましょう。
思えばせっかくの良作なのに、ここでは書いていなかったもんね。

ルシベラは、86年サン・ニコラウ島の生まれ。
のちに家族とサン・ヴィセンテ島へ引越して、
ハイ・スクール時代に地元のグループ、ミンデル・ソムに参加して歌いました。
高校卒業後は、サル島やボア・ヴィスタ島のホテルで、
セザリア・エヴォーラやバナ、ティティナの曲を、観光客相手に歌っていたそうです。
12年には首都のサンティアゴ島プライアへ進出して、
セザリア・エヴォーラのギタリスト、カク・アルヴェスとも親交を持ちました。

16年にリスボンで歌手デビューを果たし、
17年秋にトイ・ヴィエイラのディレクションのもと、デビュー作を録音、
翌18年に出たのが、本作(青盤)なのでした。
デビュー作にしてこの落ち着きぶりは、相応のキャリアを積んできたことの証しですね。

柔らかな歌声で、ほんのりとした情感、爽やかな哀愁を伝える歌い口が、
モルナやコラデイラにベスト・マッチで、クレオール歌謡の良さを引き立てています。
トイが弾くアクースティック・ギターの柔らかな響きを中心に、
カヴァキーニョやヴァイオリン、アコーディオンなどのアクースティックな音づくりによる
過不足ない伴奏も上質で、申し分ありません。

ところが、19年改訂版(朱盤)はちょっと驚きました。
ラストの追加曲のほかにも、違いがあって、
ゲスト歌手2人を招いてオーヴァーダブを施し、
ルシベラとデュエットを演出した曲が2曲あるんですよ。

‘Mal Amadu’ には意外や意外。ライ歌手のソフィアン・サイーディを迎えています。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2018-04-28
ライの節回しでなく、モルナに合わせた泣き節を聞かせてはいるものの、
う~ん、どうでしょうねえ。あんまりいい相手役だとは思えないなあ。
アントニオ・ザンブージョとかの方が良かったんじゃないですかね。
ちなみにこの曲、19年版では‘Sai Fora’ とタイトルが変えられています。

そしてもう1曲、‘Dona Ana’ が、さらにオドロキというか、うげっ!
なんと、アンゴラのボンガだよ。はぁ、カンベンしてくれ~。
いつものボンガ節で、キモイ震え声に、げんなり。

なんでまた、こんな余計な演出したかなあ。
完全なるキャスティング・ミスで、せっかくの名作を汚したとしかいいようがありません。
ジャケは19年改訂版(朱盤)の方が、ステキなんだけどね。

というわけで、19年改訂版(朱盤)、オススメいたしません。
ぜひ18年のオリジナル盤(青盤)をお聞きください。
そしてなにより、新作に期待したいですね。

Lucibela "LAÇO UMBILICAL" Lusafrica 762562 (2018)
Lucibela "LAÇO UMBILICAL" Lusafrica 762972 (2019)
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