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ヒップ・ホップからクワイトへ キャスパー・ニョヴェスト [南部アフリカ]

Cassper Nyovest  SWEET AND SHORT.jpg

クワイトの新作を聴くのはひさしぶり。
といっても、4年も前のCDなんですけどね。
いまや絶滅危惧種ものの南ア盤なので、リアルタイムで入手するのは絶望的。
買えただけでも、めっけもんなのであります。

そういう時流無視の物件なので、ひと昔前感があるクワイトですが、
まだまだ現地では、人気が根強いもよう。
ディープ・ハウスの再燃とともに、クワイトの人気が盛り返しているといった記事を
数年前に読んだおぼえがあります(そのニュース・ソースも古いけど)。

で、入手したのがこのキャスパー・ニョヴェスト。
90年北西州マフィケング生まれのラッパーで、
これほどクワイトに寄せた作品は、キャリア初の試みだそう。
なんでもヒップ・ホップとクワイトのアーティストは、互いに反目していたのだとか。
クワイトが南ア独自の音楽なのに比べ、
ヒップ・ホップはアメリカナイズされた連中がやる音楽で、
ラッパーは南ア人じゃねぇ、とディスられていたんだそうです。

ハウスなどのクラブ・ミュージックや、ヒップ・ホップの影響下に生まれた
ハイブリッドなゲットー・ミュージックがクワイト、そんな理解をしていたので、
クワイトとヒップ・ホップのアーティストの間で、そんな断絶があったとは意外でした。

ヒップ・ホップ・シーンで成功をおさめたキャスパーが、
クワイトへの愛着を示したという本作、発売24時間で
プラチナ・アルバム(3万枚セールス)に認定されたというんだから、スゴイですね。
その人気もナットクの痛快作で、パッショネイトなサウンドが極上です。

TKZee  HALLOWEEN.jpg

フランク・カジノをフィーチャーした‘Who Got the Block Hot?’ で、
いきなり冒頭からTKZee の‘Mambotjie’ をサンプリングしていて、
おぉ!と前のめりになりましたよ。
‘Mambotjie’ を収録した“HALLOWEEN” は、
クワイトの記念碑的作品ともいえる大ヒット作。
クワイトへのリスペクトを示したキャスパーの思いが伝わりますね。

クールなビートにのるフックの利いたフロウは、ラッパーならでは。
アルバム・ラストは、マスカンダのデュオ、シュウィ・ノムテカラをゲストに
マスカンダ+クワイトを聞かせてくれて、もう背中ゾクゾクもの。
マスカンダ特有のギターに、オルガン、アコーディオンもフィーチャーして、
頬が思いっきり、ユルんじゃいました。う~ん、もうこれ、サイコーでしょ。

Cassper Nyovest "SWEET AND SHORT" Family Tree CDRBL974 (2018)
TKZee "HALLOWEEN" BMG CDHOLA(LSP)3000 (1998)
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