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スラック・キー・ギターで納涼 ケオラ・ビーマー [太平洋・オセアニア]

Keola Beamer Mauna Kea.jpg   Keola Beamer Mohala Hou.jpg

マヒ・ビーマーの続きで、マヒゆかりの人ということで、
スラック・キー・ギタリストのケオラ・ビーマーを引っ張り出してきました。
ケオラ・ビーマーは、ハワイの名門音楽一家ビーマー家の御曹司。
ヘレン・デシャ・ビーマーのひ孫、マヒ・ビーマーの甥っ子にあたります。

ぼくはケオラのギターが大好きで、昔サインを入れてもらった2枚は、
妻もお気に入りの、夫婦の愛聴盤となっています。
ケオラ・ビーマーといえば、カーペンターズもカヴァーしたヒット曲
‘Honolulu City Lights’ の作者という紹介が一般的なんですけれど、
ケオラのキャリアで重要なのは、
73年に初のスラック・キー・ギターの教則本を出版したことにあります。

これは当時のハワイでは画期的なことだったんです。
それまでスラック・キー・ギタリストたちは、
自分の変則チューニングを秘密にしていたので、
それを白日の下にさらすのは、タブー破りそのものだったんですね。
ケオラの本は、スラック・キー・ギタリストたちの閉鎖性を打ち破り、
スティール・ギターやウクレレのように誰もが弾ける楽器へと変え、
スラック・キー・ギターを一気に普及させたのです。

ケオラのギターは、とても穏やかなトーンを持っているのが特長。
土臭さとは無縁な洗練されたサウンドで、
ゆったりと流れるようなフレーズをいかに美しく弾くか、
その一点に集中しているようなプレイを聞かせます。
そんなケオラの美しいギターをたっぷり味わえるのが、97年の“MAUNA KEA”。
ケオラ一人のギター演奏によるインスト・アルバムで、
曲ごとナイロン弦ギター、スティール弦ギターを使い分け、多重録音もしています。

スラック・キーの標準的なオープンGのタロ・パッチをはじめ、
ケオラ・スタイルと呼ばれた独自のオープン・チューニングをふんだんに使って、
ケオラの自作曲ほか、有名な伝統曲の‘Hi’ilawe’ では、
新たなパートをアダプトして弾いています。

03年の“MOHALA HOU” は、ケオラのソフトなヴォーカルが楽しめるアルバム。
先の“MAUNA KEA” でも演奏していた
‘Pupu Hinuhinu’ のヴォーカル・ヴァージョンが聞けます。
この曲は、ケオラの母ノナ・ビーマーが作曲した子守唄。
マヒ・ビーマーも“HAWAII’S MAHI BEAMER” で歌っていたとおり、
ビーマー家の代表的レパートリーで、ここではケオラが、
これ以上ないくらい慈愛に満ちた優しい歌声を聞かせていて、涙を誘われます。

とにかくこの2枚が大好きでねぇ。実用的でもあったんですよ。
仕事と育児でヘトヘト、夜はすっかりご無沙汰の夫婦が、
たまに心を通わせた夜に、これほどしっくりとくるアルバムもなく、
これを聴きながら二人で眠りにつけば、至福この上ないという効用があったのです。
夏の夜の納涼BGMですね。

ケオラにサインを入れてもらったコンサートも、思い出深いなあ。
あれは05年の9月7日。ちょうど神奈川の座間で仕事をしていた時期で、
ケオラの来日ツアーの日程に、職場から歩いて行ける会場があったので、
東京で観ずに、仕事帰りにハーモニーホール座間で観たんでした。
初めてのコンサート会場という珍しさもあって、記憶に残るいいコンサートでした。

Keola Beamer "MAUNA KEA - WHITE MOUNTAIN JOURNAL" Dancing Cat 08022-38011-2 (1997)
Keola Beamer "MOHALA HOU : MUSIC OF THE HAWAIIAN RENAISSANCE" Ohe no number (2003)
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