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ネット世代のシティ・ポップ ぷにぷに電機 [日本]

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YouTube で「君はQueen」を観て、惹き込まれました。
ネット世代のシティ・ポップといえばいいんでしょうか。
クセのあるディクションで歌う、女性シンガー・ソングライターなんですけれど、
それが気取った感じに響いてこない。こういうタイプって、スカしたイヤミな感じに
聞こえることがほとんどなのに、それがまったくないのは得難い個性です。

ヴォーカルにすごい訴求力があって、YouTube を流し聴きしている耳をグイッとつかまえ、
PC画面に振り向かせて、最後まで視聴させるパワーがあります。
がぜん興味が沸いて、「ずるくない?」というMVも観てみたら、
以前から注目していた kan Sano とのコラボで、これまたエモい仕上がり。

やるせない雰囲気で、流し歌いしているような風情を装いながら、
その歌には意志の強さをうかがわせる芯があり、コシの強さが魅力です。
ストレイトなジャズ・ヴォーカルを歌っても、イケるんじゃないのと思ったら、
じっさい出自はジャズなんだそう。あぁ、やっぱり。

ぷにぷに電機というお名前は、あいみょんとかものんくるとか、
21世紀日本らしい脱力ぶりですけれど、研ぎ澄まされたセンスに、
上質なサウンド・プロダクションで、申し分ないデビュー作じゃないですか。

サウンド・メイキングしている人たちは、若手の俊英揃いとのこと。
まったく疎いために、 kan Sano 以外はどなたも存じ上げませんが、
Mikeneko Homeless、PARKGOLF、80KIDZ、Shin Sakiura といった人たちが、
デリカシーに富んだサウンドを施しています。
ゆいいつの難は、「Deeper」のYohji Igarashi のハウス・ビート。
音色の選択が凡庸すぎて、デリカシーに富んだ音像が、これじゃぶち壊し。

今後、エレクトロなラップトップ・ミュージックに向かうのか、
生演奏に寄せてくのか、まだまだわからない未知な才能ですけれど、
新世代ジャズ・ミュージシャンとのコラボを聴いてみたい気がします。

ぷにぷに電機 「創業」 Tsubame Production/PARK PNDN010 (2022)
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