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70年代サンバ・ファン感涙の最高作 ニルジ・カルヴァーリョ [ブラジル]

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Nilze Carvalho "VERDE AMARELO NEGRO ANIL" Rob Digital RD178 (2015)

今回のセールで、最高のディスカヴァリー。
リオ下町ラパの新世代サンバ・グループ、スルル・ナ・ローダで、
14年と17年に二度来日してお馴染みのニルジ・カルヴァーリョの15年作。
ニルジ・カルヴァーリョは、80年にバンドリンの天才少女としてデビューして以来、
ずっとリアルタイムで聴いてきた人。その後ショーロ演奏家からサンバ歌手に転向して、
90年代には渋谷のシュラスコ・レストラン、バカナへの出演で
日本に長期滞在し、レストランが制作したCDも残しているんですよ。

Sururu Na Roda  CHORINHO & SAMBA DE RAIZ.jpg   Nilze Carvalho  SOM NA BACANA VOL.1.jpg

Sururu Na Roda "CHORINHO & SAMBA DE RAIZ" Futura FUT45011-2 (2004)
Nilze Carvalho "SOM NA BACANA VOL.1" Ocelot SB001 (1993)

それにしても、こんなアルバムが出ていたなんて、ぜんぜん知らなかったー。
15年というと、この頃のニルジ・カルヴァーリョは、フィーナ・フロールから
アルバムを出していたはずなのに、ロブからも出していたんですねえ。
気付かずにいたのは痛恨の極みですけれど、
でも、聞き逃さずに済んで、ホントに良かった。
全曲耳馴染みのサンバがずらっと並んでいるんですよ。
まるでぼくのために選曲してくれたかのようなレパートリーに、
1曲目からいきなり破顔しちゃいました。嬉しすぎて、もうどーすりゃいいのやら。

Beth Carvalho  NO PAGODE.jpg   Leci Brandão  ANTES QUE EU VOLTA A SER NADA.jpg

Beth Carvalho "NO PAGODE" RCA 7432137428-2 (1979)
[LP] Leci Brandão "ANTES QUE EU VOLTA A SER NADA" Marcus Pereira MPL1027 (1975)

だって、1曲目から、ベッチ・カルヴァーリョが79年の最高傑作“NO PAGODE” で
歌っていた‘Samba No Quintal’ ですよ。
そして2曲目は、レシ・ブランダンの75年デビュー作のタイトル曲
‘Antes Que Eu Volte A Ser Nada’。
どんくらい、あのマルクス・ペレイラ盤を聴いたことか。
80年11月に来日して裸足で歌ったレシの立ち姿が、まざまざとよみがえります。

Riachão  HUMANENOCHUM.jpg   Ademilde Fonseca  A Rainha Ademilde & Seus Chorões Maravilhosos.jpg

Riachão "HUMANENOCHUM" Caravelas 270099 (2000)
[LP] Ademilde Fonseca "A RAINHA ADEMILDE & SEUS CHORÕES MARAVILHOSOS" Museu Da Imagem E Do Som MIS024 (1977)

バイーアのチョイ悪サンビスタ、リアショーンの‘Retrato Da Bahia’。
77年の映像と音の博物館盤に録音された、
ショーロ・ヴォーカリストのアデミルジ・フォンセカの
名唱が忘れられない‘Teco Teco’ (CDは↓のベスト盤に収録されています)。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2012-07-24
イヴァン・リンスとヴィトール・マルチンスのコンビの名曲‘Roda Baiana’ は、
レニーアンドラージの名カヴァーがありましたよねえ。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-08-15

Nelson Sargento Encanto Da Paisagem.jpg   Wilson Moreira  PESO NA BALANÇA.jpg

[LP] Nelson Sargento "ENCANTO DA PAISAGEM" Kuarup KLP025 (1986)
Wilson Moreira "PESO NA BALANÇA" Atração ATR31239 (1986)

ネルソン・サルジェントの‘Vai Dizer A Ela’ と
ウィルソン・モレイラの‘Peso Na Balança’ は、田中勝則さんが86年に
プロデュースした二人のソロ・アルバムにそれぞれ収録されていた曲。

Jair Do Cavaquinho  SEU JAIR DO CAVAQUINHO.jpg   Paulinho Da Viola e Elton Medeiros  SAMBA NA MADRUGADA.jpg

Jair Do Cavaquinho "SEU JAIR DO CAVAQUINHO" Phonomotor/EMI 5375752 (2002)
Paulinho Da Viola e Elton Medeiros "SAMBA NA MADRUGADA" RGE 341.6007 (1966)

そして極め付けは、ジャイール・ド・カヴァキーニョの‘Atraso Em Meu Caminho’、
パウリーニョ・ダ・ヴィオラとカスキーニャの共作‘Recado’、
モナルコの‘Lenço’ のメドレー。
なんとモナルコがかけつけて、ゲストで歌っているんですよ!
‘Lenço’ についての思い出は以前書いたので、下の記事をお読みください。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2018-11-16

Nilze Carvalho Choro De Menina.jpg   Nilze Carvalho Choro De Menina Vol.2.jpg
Nilze Carvalho Choro De Menina Vol.3.jpg   Nilze Carvalho Choro De Menina Vol.4.jpg

[LP] Nilze Carvalho "CHORO DE MENINA" Cid LPCID8036 (1980)
[LP] Nilze Carvalho "CHORO DE MENINA VOL.2" Cid LPCID8043 (1981)
[LP] Nilze Carvalho "CHORO DE MENINA VOL.3" Cid LPCID8046 (1982)
[LP] Nilze Carvalho "CHORO DE MENINA VOL.4" Cid LPCID8060 (1983)

ゆいいつのインスト・ナンバー‘Choro De Menina’ は、
ニルジの少女時代のテーマ曲。う~ん、懐かしすぎる。
『少女のショーロ』シリーズ第2弾の81年作で披露された、
ニルジのオリジナルのショーロですけれど、
シリーズ4枚中ぼくが一番好きなのが、この第2集だったんですよねえ。
‘Brasileirinho’ ‘Assanhado’ のバンドリン演奏は見事でした。
再演された‘Choro De Menina’ は、若い時の気負いがなくなり、
バンドリンのプレイが円熟したのを感じさせます。

個人的に思い出深い、メロディアスなサンバ佳曲を並べた選曲にウナりましたが、
伝統サンバの芯をしっかりと持ちながら、
シャープなリズム・アレンジに現代性を表わしつつ、ポップなセンスも発揮した快作。
ニルジ・カルヴァーリョの最高作です。
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