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へへ、ゴゴ、スワヒリ、英語で歌うレトロ・タンザニア ワヘンガ [東アフリカ]

Wahenga  KIKWETU KWETU.jpg

タンザニア音楽のレーベル、レトロタンを昨年再起動したロニー・グレアムさんが、
デジタル・リリースした新作3タイトルのプロモCDを送ってくれました。

前回は、ターラブの初録音を残したザンジバルの歌姫シティ・ビンティ・サアド、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2021-09-17
タンザニアのドライ・ギターの祖、フランシス・ラファエル・ムワキチメ、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2021-09-19
伝説のギタリストのジャン・ボスコ・ムウェンダの息子ディディエという
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2021-09-21
三者三様のラインナップでしたが、今回も女性ターラブ・グループのタウシ、
ギターと親指ピアノのデュオ、ワヘンガ、ムジキ・ワ・ダンシのシカモー・ジャズと、
それぞれ異なる個性豊かなアーティストが選ばれています。

今回はワヘンガを取り上げましょう。
04年にノルウェイ大使館主催のパーティーで演奏の依頼を受けた
ギタリストのジョン・キチメが、親指ピアノ奏者アナニア・ンゴリガを
誘って誕生したのが、ワヘンガです。
パーティで二人の演奏は大喝采を浴び、
その後毎月のように大使館から出演を依頼されるようになったそうです。

翌05年、アメリカのバンジョー奏者ベラ・ブレックが、バンジョーのルーツ探訪の旅で
タンザニアを訪れた際にワヘンガと出会って意気投合し、ワヘンガはベラ・フレックの
09年のアフリカ・セッション・アルバム“Throw Down Your Heart” に参加します。
さらに、このセッションに参加したトゥマニ・ジャバテ、デ・ガリ、ヴシ・マハラセラなど
他のアフリカのミュージシャンとともに、ベラ・フレックと全米ツアーをしています。

ギタリストのジョン・キチメは、昨年レトロタンの第1弾リリースされた
フランシス・ラファエル・ムワキチメの息子なのですね。
現在JFKバンドを率いて活動するほか、
キリマンジャロ・バンドのメンバーでもあるジョンは、
オーケストラ・マカシー、ヴァイジャナ・ジャズ・バンドなど、
タンザニアの名門ダンス・バンドを渡り歩いてきたヴェテラン・ギタリストです。

一方のアナニア・ンゴリガは、両親が親指ピアノ(リンバ)を弾いていたものの、
習ったことはなく、大人になってから弾き始めたのだそうです。
5歳の時に視力が衰えたことから、盲学校へ通うようになり、
そこでギターとピアノを習得しましたた。初等教育を終えると、教会の合唱団に入団し、
合唱の指導や作曲をしていたというのだから、すでに才能は開花していたのでしょう。
成人してダル・エス・サラームに移り住むと、さまざまなバンドから誘われて歌い、
オーケストラ・マキ(バナ・マキ)のリーダー、チマンガ・アソーサなどの大物とも、
ステージを共にしています。

09年にダル・エス・サラームのスタジオで録音された本作は、
ムジキ・ワ・ダンシのバンドで演奏しているようなレパートリーではなく、
ヘヘ人のジョンとゴゴ人のアナニアにとって昔馴染みの、
伝統的な歌が取り上げられています。
スワヒリ語で歌われる曲は、ジリペンドワと呼ばれるオールディーズで、
アルーシャ出身のギタリスト、フランク・ハンプリンクや
ケニヤのフンディ・コンデの曲をカヴァーしているとのこと。

アナニアが歌う‘Muziki Wa Asili’ は、ドドマで踊られる
ムペンダという祝いのダンス・チューンで、いかにもゴゴらしい曲ですね。
フクウェ・ザウォーセを思い起こす人も、きっといるはず。
熟練の音楽家二人による、リラックスした歌と演奏がなんとものびやかで、
レトロ・タンザニアの味わいを堪能できます。

Wahenga "KIKWETU KWETU" RetroTan RT005
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