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ゆき届いたおもてなし リオン・ウェア [北アメリカ]

Leon Ware.JPG

リオン・ウェアがやっと、東京にやって来てくれました。
観に行ったのは、8月23日コットンクラブの2ndステージ、公演最終日の最終ステージです。

序盤早々、マーヴィン・ゲイの“After The Dance”を歌ってフロアのお客さんを踊らせ、
ミニー・リパートンの“Inside My Love”や
マイケル・ジャクソンの“I Wanna Be Where You Are”、
クインシー・ジョーンズの“Body Heat”(74年)に収録されていた
名曲“If I Ever Lose This Heaven”も披露してくれましたよ。
なかでもぼくが一番グッときたのは、ダニー・ハザウェイの“I Know It's You”でした。
リオンの楽曲の中では地味なスロー・ナンバーですが、
歌詞の一語一語を噛みしめるように歌うリオンの丁寧な歌唱に、胸がじーんと鳴りました。

まさしく「ザ・ベスト・オヴ・リオン・ウェア」と呼ぶにふさわしいショー構成で、
1曲1曲、丁寧に曲の紹介をしてから歌い始めるリオンの姿は、
ソングライターとしての誇りが感じられて、すがすがしい思いがしました。

リオンはカリスマティックなシンガーではありませんし、
ショーアップされたステージを見せるわけでもありません。
淡々と曲を歌い進めていくだけといえば、確かにそれまでなのですが、
69歳というヴェテランならではの落ち着いた振る舞いと、
きさくで温かなパーソナリティがにじみ出る独特のオーラで、
クラブに居合わせたお客さんすべてのハートをわしづかみにした、至福の1時間40分でした。

だってね、その立ち姿だけでも、十分セクシーなわけですよ。
ぼくはリオンの立つちょうど真下のかぶりつき状態のところに座ってたんですが、
すぐ前の20台前半とおぼしきカップルの女の子が、目をハートマークにしていて、
それを微笑ましく見守っている男の子ともども、
「ああ、こんな若い子たちも夢中にさせてるんだなあ」と感じ入ってしまいました。

フィナーレは、もちろんこれしかない不朽の名曲、“I Want You”。
ステージを降りて歌いながら客席をまんべんなく歩き、お客さん一人ひとりと握手をし、
女性には手の甲にキス、そしてハグもしていきます。
その丁寧な接客ぶりからは、ステージを見に来てくれたお客さんへのリオンの感謝の気持ちが、
痛いほど伝わってきました。それは単にサービス精神などといった手練とも違う、
リオンの歌うことに対する真摯なアティチュードにつながっていたように思います。

ステージ終了後は、“I WANT YOU”のジャケとなった
アーニー・バーンズの“Sugar Shack”の複製画の前でサイン会が開かれました。
リオンは、長蛇の列を作ったお客さん一人ひとりと会話をかわし、握手をし、
一緒に写真も映る心づくしをみせてくれました。
最後の最後まで、リオンのゆき届いたおもてなしに、心満たされた一夜でした。

Leon Ware "MOON RIDE" Stax STXCD30228 (2008)
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