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フィニッシュ・クロスオーヴァーふたたび オリ・アーヴェンラーティ [北ヨーロッパ]

Olli Ahvenlahti  MIRROR MIRROR.jpg

注目のフィンランドのジャズ・レーベル、ウィ・ジャズの新作は、
なんとオリ・アーヴェンラーティ。
70年代にクロスオーヴァーを熱心に聴いていた人ならご存じのとおり、
フィンランドのクロスオーヴァー/フュージョンを代表するピアニストです。

このレーベルって、実験性の高いジャズを志向しているのかと思っていたけど、
こういうど・ストライクなフュージョンも出すんですね。
それにしても、オリ・アーヴェンラーティとは懐かしいと思ったら、
ジャイルス・ピーターソンやケニー・ドープが紹介して、
クラブ・シーンで再評価されたことがあったんだそうです。
そういやオリの70年代の作品が、
ミスター・ボンゴからCDリイシューされたことがあったけど、そういう流れだったのか。

新作は、サックス、トランペットの2管を擁したクインテット編成。
オリはフェンダー・ローズとオーバーハイムを弾いています。
フェンダー・ローズの音色が好きなファンにはたまらない、
見事なまでにクラシックなスタイルの70年代クロスオーヴァー・サウンドです。
ヒップ・ホップなんて通過していない、現代に更新もされていない、
半世紀昔のまんまのサウンドであります。

不思議なもんです。リアルタイムで聴いてきた者には、
こういう音楽がリヴァイヴァルするなんて想像もしなかったもんなあ。
なんせ当時は、硬派なジャズ・ファンやロック・ファンから
バカにされ続けてきた音楽ですからねえ。
フリー・ジャズもフュージョンもどっちも好きなんて、
ぼくみたいなヘンタイは他にいなかったから、なんか感慨深いですよ。

音響の良さを除けば、21世紀の音楽であることを示すものは、
な~んにもないといった内容なのに、それがまったく古臭く聞こえない。
それがサンダーキャットやドミ&JD・ベックが人気を呼ぶ、
今という時代なんだろうねえ。

ふと、オリっていまいくつなんだろと調べてみたら、
49年生まれだから74歳。ボブ・ジェイムズ、ジョー・サンプルあたりと
同い年みたいなイメージだったけど(二人は39年生まれ)、もっと若かったのか。
同い年はデヴィッド・フォスター。
ニール・ラーセンより1つ、ドン・グロルニックより2つ、
ジョージ・デュークより3つ若くて、ロニー・フォスターの1つ上。そういう世代でした。

半世紀ぶりのフィニッシュ・クロスオーヴァー。
大手を振ってこういう「サウンド」が好きといえるようになったのは、いい気分。
アヴァン・ジャズもフュージョンもカタログにあるウィ・ジャズ、ますます気に入りました。

Olli Ahvenlahti "MIRROR MIRROR" We Jazz WJCD75 (2024)
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