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青い瞳のブルースマン ハンス・テーシンク [西・中央ヨーロッパ]

Hans Theessink  WISHING WELL.JPG

うぅ、たまんねぇ~。こういうオヤジ声にヨワいんですよぉ。
ブルージーなメロディを、深みのあるバリトン・ヴォイスで呟くように歌われると、それだけでメロメロ。
すぐに連想したのが、ラリー・ジョン・ウィルソン。
ぼくの大好きなシンガー・ソングライターなんですけど、あまり知られた人じゃないから、
J・J・ケイルを挙げた方が通りがいいかもしれませんね。

そんなアメリカ南部のスワンプ香り高い音楽をやるのは、なんとオランダ人というハンス・テーシンク。
ぼくは本作で初めてハンクを知りましたが、もうキャリアは長い人らしく、
本作のジャケ内に18枚もの過去作のタイトルが載っています。
そんなヴェテランだからこそ出せる味わいというか、歌もギターも枯れていて、すごくいい感じ。
カントリー・ブルースを基調としたアクースティック・ギターに、
バンジョー、マンドリン、ハーモニカなどを自身で重ねただけの、
シンプルなサウンドのアルバムとなっています。

ハンスはライ・クーダー・フォロワーみたいな立ち位置にいるギタリストで、
自作のほか、ブラウニー・マギーのブルース、古いゴスペル、黒人民謡などを歌っています。
“Make Me Down A Pallet On Your Floor” なんて曲も取り上げていて、
ぼくはデルタ・ブルースのスゴ腕ギタリスト、ウィリー・ブラウンをすぐ思い浮かべましたが、
ハンスの歌は、ミシシッピ・ジョン・ハートが歌ったヴァージョンに近いかな。

面白いのは“Kathmandu” という自作曲で、ハンスのギターのバックでタブラが叩かれます。
なんじゃ、こりゃと思ったら、ハンスは2010年のヒマラヤン・ブルース・フェスティバル(!)に招かれ、
この曲はその時のカトマンズ滞在の経験を歌ったのだとか。
オランダ生まれの白人ブルースマンが、ネパールのブルース・フェスティバルで歌うだなんて、
なんだかジョークみたいな話ですけど、いまやそういう時代なんですねえ。

ちなみにブルース・フェスティバルといえば、
いまや中国、インド、トルコ、ベネズエラ、リトアニアでも開かれているという現実。
ブルースもジャズも、いまや学校で習うようになった時代では、
ヒマラヤの麓でブルースが奏でられたとて、なんの不思議もないってことですか。
そんな人類共通の音楽遺産と化した、21世紀の北米南部音楽の味わいがここにあります。

Hans Theessink "WISHING WELL" Blue Groove BG2320 (2013)
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