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サンバのニュー・ヒロイン ルイーザ・ジオニジオ [ブラジル]

Luiza Dionizio.jpg

ヒロインの褐色の肌に黄色のバラを配した、ムードのあるジャケットに惹かれました。
新人のサンバ歌手かと思ったら、まったくの新人ではなく、
すでに多くのサンバ・アルバムに歌手として参加し、キャリアを積んできた人だそうです。
たしかにその歌声は新人離れしたスキルがあり、
若いからといって声を張ったり、歌いすぎていないところがいいですね。
マルチナリアやテレーザ・クリスチーナなどの若手サンバ・シンガーとも共通する、
しなやかな歌い回しが魅力です。

マルチーニョ・ダ・ヴィラ、デルシオ・カルヴァーリョ、ウィルソン・モレイラ、
ルイス・カルロス・ダ・ヴィラなどのレパートリーも選りすぐりで、
ラストをアフロ・ルーツ系のサンバでさらりと締めたところも、好感が持てます。
個人的には、大好きなエルトン・メデイロスのサンバ“Último Verso”を歌っているのが花丸。

プロデュースとアレンジは毎度おなじみのパウローン。
主役の個性に合わせたプロダクションを施すのが、パウローンのいいところ。
膨大な数のプロデュースをこなしてきたパウローンですが、
常に趣向を凝らし、手を抜かない仕事ぶりには感心させられます。
かつてワン・パターンのアレンジでサンバをダメにした、
パゴージ・アルバムのプロデュースとは、対極の仕事ぶりといえますね。
こういう人が支えているからこそ、サンバ・シーンが活況となっているわけです。

そしてなにより、メインを張るシンガーに魅力があってこそ。
情感のあるサンバを歌えるルイーザ・ジオニジオこそ、大型新人の名にふさわしいですね。
サンバ・シーンに新たな彩りを添えたヒロインの、今後の成長が楽しみです。

Luiza Dionizio "DEVOÇAO" Universal 60252711097 (2009)
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