SSブログ

エドゥアルド・ベタンクール&ルイス・ピノ@草月ホール [南アメリカ]

Eduardo Betancourt.JPG    Luis Pino.jpg

ベネズエラからやってきた若手アルパ奏者エドゥアルド・ベタンクールと、
クアトロ奏者ルイス・ピノのデュオ。
ここ十年くらい、ベネズエラ伝統音楽の音楽家がコンスタントに来日してくれていて、
ベネズエラ音楽ファンとしては嬉しい限りであります。

おとといのコンサートは、日本のアルパ演奏家ルシア塩満さんの企画で行われたもの。
なんでもルシアさんが、3年前のパラグァイのアスンシオンで開かれた
第1回世界アルパ・フェスティバルに日本代表で出演したさい、
ベネズエラ代表で参加していたエドゥアルドのプレイを聞いて感激し、
日本に呼びたいと思っていたのだそう。

ルシアさんを感激させたエドゥアルドのテクニック、いやー、スゴかったです。
アルパ・ジャネーラの奏法を革新したカルロス・オロスコも顔負けの、
機関銃フレーズを駆使した即興演奏は、ほとんどジャズのインプロビゼーションでしたね。
曲のサイズが短めで、実力の半分も出してなさそうな、余裕を残しまくった演奏ぶりでしたけど、
それであの華麗なテクニック。本気出したら、どんだけなんでしょ。
もちろんテクニックばかりでなく、ベネズエラのアルパ・ジャネーラならではの力強い指さばきも強力。
ハープでビートやノリを生み出すのは難しいなんて常識は、ベネズエラのハープには通用しない。
ポリリズムとシンコペーションがせめぎ合って、リズムばきばきでしたね。

ルイス・ピノは天才クアトロ奏者チェオ・ウルタードの弟子だったそうで、
アンサンブル・グルフィーオでチェオの代役も務めているとの前評判に、
さぞチェオ直伝の離れ業を見せつけるかと思ったら、プレイは案外地味なもの。
チェオ譲りのリズム・カッティングでエドゥアルドをもっと挑発したら、
すごいインプロビザーションの応酬が聞けたのではと、想像を膨らましてしまいましたが、
それはまた今後のお楽しみということで。

会場で売っていた二人のソロ・アルバムを買ってきましたが、
エドゥアルドのアルバムはアンサンブル重視で、テクニックは抑え目。
スタジオで一気に録ったかのような内容なのに対し、
ルイスのアルバムは1曲ごとアレンジを凝らし、
クアトロの華麗なるテクニックを駆使した内容となっています。
コンサートとはまるで逆なのは、意外でしたね。

ルイスのアルバムには、ゲストにベネズエラ歌謡最高の女性歌手セシリア・トッドや、
ヴェテラン・コーラス・グループのセレナータ・グアヤネサのほか、
バンドーラ奏者イスマエル・ケラレス、クラリネット奏者アンドレ・バリオ、
フルート奏者ルイス・フリオ・トロなどの名手たちも華を添えています。
装丁も凝っていて、丁寧に作られた気持ちのいいアルバムです。

ところで余談になりますが、アンサンブル・グルフィーオの新作、
なんとアミルトン・ジ・オランダとの共演だって知ってました?
まだぼくは手に入れていないんですけど、届くのが楽しみです。

Eduardo Betancourt Y Su Grupo Tolvaneras "MELODÍAS DEL RECUERDO" no label FD2522005224
Luis Pino "A LOS CUARTO VIENTOS" Cargill FD2522009864 (2009)
コメント(2) 

コメント 2

ボン 大塚

はじめまして、私は兵庫県在住でキューバもの中心にルーツ系音楽が
雑多に好きなシニア世代です。エル・スールのサイト奥にある
無断リンク集で目に留まってから、ずっと読ませてもらっております。
この記事の二人については知らなかったのですが、記事中の
女性歌手は動画で視聴した覚えがあり、思わずオオ~と反応して
コメントとなった次第です。ただ好きなだけの素人で違っているやも
ですが、もしよろしければ私の動画視聴記録のブログの方を
のぞいて確かめていただければ幸いです。ちなみにアドレスは、
「BonCafe ボンの音楽動画集」 http://bon23.seesaa.net/
カテゴリのラテン(女子)に貼付したと記憶しておりますので。
by ボン 大塚 (2010-06-03 09:39) 

bunboni

ごひいきにしていただいているようで、ありがとうございます。
女性歌手というのはセシリア・トッドのことですね?
ぼくの大好きな歌手なので、今度記事にしようと思います。
by bunboni (2010-06-03 20:17) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。