チャーリー・パットンの全身写真 [北アメリカ]
7年前に発見されたチャーリー・パットンの全身写真をあしらったコンプリート集。
「コンプリート」に食指は動かなくても、
この全身写真にはたまらず、即買ってしまいました。
これまでチャーリー・パットンの写真といえば、
粒子の粗いバストアップの写真しかなかったので、
いきなりこの鮮明な全身写真が出てきた時は、ホントに驚きましたね。
ギターを手にしていたのにも、おおっ、と思いましたが、
さらに驚愕だったのが左手のフォーム。
指板を逆バレーする人差し指に、なんじゃこりゃ、とのけぞりました。
エンタテイナーでもあったという、パットン一流のハッタリだったのでしょうか。
あ、でも、サン・ハウスもこんな荒技を使っていたような…。
それにしても、パットンの指も細長くてきれいですねえ。
その昔、長年謎とされてきたロバート・ジョンスンの写真が公開された時、
初めて目にしたその顔以上に、左手の細長い指の美しさが印象的でした。
思い起こせば、チャーリー・パットンを聴いたのは高校1年生の時、
乏しいこづかいの中から買った、オリジン・ジャズ・ライブラリー盤が最初でした。
買ったのは、新宿のディスクユニオンの地下。
LPが置かれていたコーナーの場所も鮮明に記憶してます。
どきどきしながら針を落とし、
すさまじいSPのノイズ音が始まったのにはびっくりしたものです。
パットン以前にも戦前ブルースは聴いていましたけれど、
これほどひどいノイズは初めてでした。
まるで大雨が降ってるようなノイズに、
こりゃ大失敗かと一瞬ガクゼンとしたものですが、
そのあと飛び出てきたパットンの強烈なダミ声と、
弦を激しく叩きつけるギターに、イッパツでウチ抜かれましたね。
当時は、同級生がディープ・パープルだの、吉田拓郎だのといってる時代でしたから、
こんなノイズまじりの戦前ブルースを聴いてるなんざ、完全に変人中の変人でした。
いくらブルース・ブームといったって、高校生には縁のない話でしたし、
スリーピー・ジョン・エスティスとロバート・ジュニア・ロックウッドがやってきた
第1回ブルース・フェスティバルよりも前のことですからねえ。
家に遊びに来る同級生の友だちに無理やり聞かせては、いやがられたもんです。アハハ。
オリジン・ジャズ・ライブラリーだの、バイオグラフだの、ヤズーだのと、
アメリカのコレクターズ・レーベルのレコードを1枚、また1枚と買っては、
それこそブルースを身体に染み込ませるように聴いたあの頃が、
一番熱心にブルースを聴いた時期でした。
その後CD時代になって、ドキュメント盤を中心に相当数のCDを買い直しましたが、
その愛着度合いでいったら、レコードとは比べ物になりません。
そのドキュメント盤を大量に買ったのも、もう20年も前のことで、
戦前ブルースのCDを買ったなんて、ほんとにずいぶんひさしぶりのことです。
パットンのブルースは、いつ聴いてもなまなましくリアルで、
さんざん聴いたオリジン・ジャズ・ライブラリー盤より、SPノイズもだいぶ改善していて、
一気に3枚組を聴き通してしまいました。
チャーリー・パットン 「ザ・コンプリート・レコーディングス」 Pヴァイン PCD18632/4
2010-07-13 06:28
コメント(2)
確かにパットンはお洒落ですね。髪もきちんと梳かしてますし。
こんな人が歌うと、だみ声でパッチンパッチンとギターを弾くわけですから、これもショックの一つかな。
僕も時たま思い出したように聞いたりします。
オギ
by ogitetsu (2010-07-13 20:41)
悲壮な“High Water Everywhere”のように、
重々しいデルタ・ブルースが真骨頂であることは間違いないですけど、
ぼくはカントリー・ダンスのコミカルなパットンも大好きです。
by bunboni (2010-07-13 21:45)