理容師のショロン ゼー・バルベイロ [ブラジル]
サンパウロで活躍するヴェテランの7弦ギタリスト、ゼー・バルベイロのリーダー作。
最近のお気に入りのショーロ・アルバムです。
ゼーは52年の生まれで、本職は理容師さんというミュージシャン。
これが初リーダー作というのだから、アマチュアのショーロ・ミュージシャンにとって、
ソロ・アルバムを作るのがいかに難しいか、わかろうというものですね。
実力からすれば遅すぎるデビュー作なのですが、
さすが演奏はヴェテランらしく、懐の深さをくっきりと示しています。
7弦ギタリストのリーダー作というので、弦楽アンサンブルの編成かと思えば、
フルート、サックス、クラリネットの3管入りなのだから、驚かされます。
弦楽器奏者のリーダー作としても異例だし、
今日びのショーロで3管も入るのはとても珍しいです。
しかもその管楽器に存分にソロを取らせ、ゼー自身はほとんど裏方に徹しています。
自分のリーダー作というのに、この自己主張のなさっていったい何、と思ってしまったほど。
でも、それこそがほんとのショロンっていう感じがして、嬉しいじゃないですか。
オレがオレがの世の中でも、ショーロはそんな自己顕示とは無縁な音楽。
ミュージシャン同士それぞれが演奏を楽しむことに、
ショーロという音楽の良さがあるのですからね。
ライナーをバンドリン奏者のルイス・ナシフが書いていて、
この人のCDをたしか持っていたなあと思い出し、棚から引っ張り出してみたら、
ちゃんとゼー・バルベイロが参加していました。
このCDはRGEが倒産して廃盤になってしまいましたが、
その後ジャケットを変えてクアルッピから再発され、いまでもたまにCDショップで見かけます。
ぼくはローダ・ジ・ショーロの雰囲気いっぱいのジャケットが気に入っていたので、
洒落たジャケットに変わってしまったクアルッピ盤を残念に思ってましたけど、
いまやクアルッピもすべて廃盤となってしまったので、見かけたら即買いの1枚ですね。
ところで、ルイス・ナシフのCDライナーを見ていたら、
演奏はコンジュント・ノッソ・ショーロとクレジットされていて、
またまた、えっ!と思ってしまいました。
ノッソ・ショーロの97年作は、これまたぼくの大好きなショーロ・アルバムの1枚です。
いやー、これまで、ルイス・ナシフのアルバムとのつながりを全然意識してませんでした。
あわててCDを取り出してみたら、ほんとだ、ちゃんとゼー・バルベイロがいる。
デビュー作は遅かったものの、90年代からレコーディングの機会はあったんですね。
今回のデビュー作は、このノッソ・ショーロと趣が似通っていて、
ブレイクを多用したリズム・アレンジが聴きどころとなっています。
メンバー全員がのびのびと演奏しながら、リフなど決めるところはピシッと決めていて、
そのハツラツとした演奏ぶりに、心が浮き立ちます。
Zé Barbeiro "SEGURA A BUCHA!" Funarte no number (2009)
Luis Nassif "RODA DE CHORO" RGE 7040-2 (1996)
Nosso Choro "NOSSO CHORO" CPC-UMES CPC505 (1997)
2010-07-31 00:16
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