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<ジンバブウェのライオン>完全復活 トーマス・マプフーモ [南部アフリカ]

Thomas Mapfumo.JPG

どうです、この面構え!
頬がこけたのは、病気療養の痕を示すものなんでしょうけど、
ジンバブウェの闘士らしい精悍さが、トーマス・マプフーモに蘇りました。

ジャケットを一目見て、これは力作に違いないと確信したとおり、
<ジンバブウェのライオン>の完全復活を示した新作です。
05年の“RISE UP” 以来5年ぶりの今作、
数年間のセッションを経て完成したアルバムのようです。

新作を制作しているとの知らせは聞いていましたが、
アメリカからのCDリリースが遅れていたところ、ジンバブウェ盤が先にリリース。
ハイパー・インフレによって経済破綻したジンバブウェで
CD生産が再開されたとは、これまたうれしいニュースですね。
ディスクはCD-Rですけど、インナーの印刷はキレイで、
アフリカの経済大国ナイジェリアのCDより、よっぽど品質は優れています。

“EXILE” のタイトルにもあるように、マプフーモは04年にアメリカへ亡命し、
オレゴンのユージーンを拠点に活動しています。
ジンバブウェ本国のムガベ独裁体制が倒れた後も、
ジンバブウェの既成政党への抵抗姿勢を変えておらず、
チムレンガ・ミュージックの強度は落ちていません。

ブラックス・アンリミテッドのメンバーを相次いで亡くし、
メンバーの半数がアメリカ人のミュージシャンに入れ替わったとはいえ、
ショナの伝統を継いだハチロクのグルーヴに変化はなく、
マプフーモの静かな闘志が宿ったディープな歌声にも、衰えはありません。
新しい仲間を迎えたブラックス・アンリミテッドのサウンドが、
カラッとした軽妙さも備え、若々しく蘇ったのを感じさせます。

ンビーラのフレーズを核とした、きらきらとしたギターの音色とともに、
細分化されたハチロクのビートを弾き出す一方、
上昇下降を繰り返す奔放なベース・ラインが、バンド全体をグルーヴさせています。
ンビーラを前面にフィーチャーして、ショナの伝統的な唱法で歌う曲など、
ロック的なサウンドと伝統的なビートがこれまで以上にしっくりしていて、
新生チムレンガ・ミュージックの存在感を示しています。

Thomas Mapfumo & The Blacks Unlimited "EXILE" Chimurenga Music Company CDTML140 (2010)
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