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クレオールの愛の種 ティエリー・ファンファン [カリブ海]

Thierry Fanfant.JPG

これはフレンチ・カリブの美味しいとこどりですねえ。
マルチニークやグアドループのアーティストをはじめ、
パパ・ウェンバ、アンジェリーク・キジョー、ピエール・バルーなど、
数多くのレコーディングで活躍してきたグアドループ出身のベーシスト、
ティエリー・ファンファンのソロ・アルバムです。

ベーシストのリーダー作というと、ポール・チェンバーズ(古っ!)からマーカス・ミラーまで、
ベース・ソロを前面に打ち出す自己主張タイプと、
音楽性重視で自分のソロは控えめというリシャール・ボナやヤミのような人までいろいろですけど、
ティエリーは果たしてどっちだろ?と聴き始めました。

冒頭いきなりエレキ・ベースのソロに始まり、
グアドループの太鼓カ(「グウォ・カ」の「カ」です)が叩き出すリズムにのって、
ヴァイオリンとチェロが優雅なメロディーを奏でる1曲目から、ベースを弾きまくり。
これは自己主張派かなと思ったら、目立ったソロはこの冒頭1曲目と短いラストだけ。

2曲目では、ラルフ・タマールをフィーチャーした、
ダンディズムあふれる色気たっぷりのビギンにやられます。
マダガスカルの才人レジス・ジザヴのアコーディオンが島を吹き抜ける風を思わせ、
フレンチ・クレオールらしいメロディーがいっぱいの演奏は、実に爽やかです。

『愛の種を蒔こう』」というタイトルも納得のエレガントな作品に仕上がっていて、
ビギン、マズルカ、ベレ、ズークといった島の音楽に、
ルンバ・コンゴレーズや本格的なカリビアン・ジャズも飛び出すなど、
多彩なレパートリーをポップに料理していて、楽しませてくれます。

ゲストも上記のラルフ・タマールやレジス・ジザヴほか、ヴェテランのデデ・サン=プリに、
トニー・シャスール、カリーン・ギオックの歌手陣、
売れっ子ビギン・ピアニストのダヴィッド・ファックールなど、
グアドループやマルチニークの精鋭たちが勢揃い。

初夏を思わす5月のまぶしい太陽に似合う1枚です。

Thierry Fanfant "SIMÉ LANMOU" Aztec Musique CM2304 (2011)
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