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アオザイに映える緑 カム・リー [東南アジア]

Cam Ly.JPG

越僑歌手の女王がニュ・クインなら、在ヴェトナム歌手の女王はカム・リーでしょうか。
そんなどーでもいいことを、ふと思いついたのは、
カム・リーの新作が、大力作といえるすばらしい出来だったからです。
ニュ・クインの新作を聴き惚れているところに、ダブルの喜びとなりました。

長年カム・リーのことを、フツーの欧米風ポップスを歌ってる越僑歌手と思っていたら、
いつのまにかヴェトナムへ里帰りして、民歌路線の中華風ヴェトナム歌謡を歌っていたんですね。
04年の“EM GÁI QUÊ” は、ヴェトナム盤には珍しくスリップケースまで付いていて、
制作陣の力の入れようがよくわかる出来なんですけど、外見ばかりでなく、内容の方も
アメリカの越僑レーベルと遜色ないプロダクションとなっていて、感心させられました。

現在はホーチミンに暮らすカム・リーですが、カリフォルニアで活動していた当時は、
二人の妹ハー・フオン、ミン・トゥエットとともに、三姉妹の越僑歌手として人気を集めていました。
ミン・トゥエットはカム・リーと同じポップス歌手でしたが、
ザンカー(民歌)を専門とするハー・フオンは、ぼくもお気に入りの歌手でした。
実はぼくがカム・リーを知ったのも、ハー・フオンのお姉さんとして後から知ったんです。

越僑時代、ポップス寄りのアルバムが多かったカム・リーは、
ヴェトナムに帰ると、妹のハー・フオンのような伝統ポップスのアルバムを多く発表し、
アオザイがまぶしい新作ジャケットも、「ザンカー」と書かれているとおり民歌路線。
ダン・バウ(一弦琴)、ダン・ニー(胡弓)、ダン・チャン(箏)の響きを巧みに取り入れた、
ヴェトナム色を強調したサウンドとなっています。
“Bậu Nhớ Người Thương” では、曲中にヴォンコ(望古調民謡)のパートも織り込まれ、
ポルタメントするヴェトナム独特のゆらぐギターをバックに歌うなど、
ニュ・クインのアルバム以上にヴェトナム伝統色を押し出したサウンドが楽しめます。

カム・リーのヴォーカルは、さらっとクセがなく、実にさっぱりとしています。
情感をこめないその歌いぶりは、艶っぽいニュ・クインに比べ、
あまりにそっけなく感じるかもしれませんが、
媚のないなめらかさはリスナーを選ばず、疲れを感じさせないシンガーです。

Cẩm Ly "GIÓ LÊN" KL no number (2010)
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