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デビュー作から半世紀 オーリアンズ [北アメリカ]

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おぉ、オーリアンズのファーストが、
ゲートフォールドのオリジナル仕様で紙ジャケCD化されましたか!
韓国のビッグ・ピンクのお仕事、嬉しいですねえ。

このレコードを買ったのは高校1年の時。
当時夢中だったリトル・フィートに通じるバンドとして、受け止めていました。
リトル・フィート以上にギター・バンドとしての性格が前面に出ていて、
ジョン・ホールとラリー・ホッペンのツイン・ギターの軽快な絡みが呼びものでした。
40年ぶりくらいに聴いたけれど、このみずみずしさ、変わらないねえ。
2台のストラトキャスターが生み出すカリッとしたサウンドがたまりません。

ソウルやファンクの影響を強く受けていて、
ニュー・オーリンズ・ファンクの要素がうかがえるところにも惹かれたんだな。
まるでスライ&ザ・ファミリー・ストーンみたいな曲(‘Tongue-Tied’)もあったし。
マッスル・ショールズ・スタジオの
バリー・ベケットとロジャー・ホーキンスがプロデュースしたからか、
スワンプぽいニュアンスがあるところも、本作の魅力でした。

メンバー4人全員が歌えるところもこのバンドの強みで、
のちに ‘Dance With Me’ で名を上げるキャッチーなハーモニー・コーラスも、
このデビュー作から発揮されていましたね。
ドゥービーぽくなってしまった ‘Dance With Me’ 以降のオーリアンズより、
ぼくはこのデビュー作当時のバンド・サウンドが好きなんですけれども。

ジョン・ホールはのちにスティールドラム・ギターと称して、
ギターでスティールドラムの音色を出すテクニックを生み出しますが、
このデビュー作では本物のスティールドラムを叩いているところも聴きどころ。
‘If’ でそれが聞けるんですけれど、リズム・アレンジがレゲエで、
ロック・ミュージシャンがレゲエを取り上げた例としては早い方でしたよね。
‘It All Comes Back Again’ でもカリビアンなムードが聴き取れて、
当時のタジ・マハールのカリブ志向とも共振するのを感じたなあ。

R&Bニュアンスたっぷりのグルーヴと
ツイン・ギターのリズム・プロダクション、
スウィートなハーモニー・コーラスとキャッチーなソングライティング、
これほどの魅力が詰まったデビュー作がセールス失敗に終わったというのは、
ABCというレコード会社がいかにボンクラだったかの証明ですね。

Orleans "ORLEANS" Big Pink 867 (1973)
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