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日本一美しいソプラノ・サックス 山口真文 [日本]

山口真文 VIENTO.jpg

山口真文のソプラノ・サックスは、日本一。
そう確信して半世紀近くが経ちますけど、
いまだその確信を揺るがすプレイヤーは現れないから、その見立ては確定済み。

山口真文のソプラノのどこがいいって、音色ですよ。
音色の美しさが天下一品なんです。
サウンドもヴォリュームがあって、堅牢な響きは理想的。
山口のソプラノの硬質なリリシズムが発揮された演奏では、
ケニー・カークランドのエレピとトニー・ウィリアムズのしなやかなドラムスを
後ろ盾にした81年の『MABUMI』収録の「Thalia」や「Illusion」、
96年の『REGALO』収録の「Empty Mirror」「Miros」が忘れられません。

山口真文  MABUMI.jpg   山口真文  REGALO.jpg

山口のソプラノがアグレッシヴな熱演を残したのは、ジャズよりもフュージョンで、
81年の『マダガスカル・レディー』での名演について以前も書きましたけれど、
「Madagascar Lady」「Get Away」の2曲のソロは圧巻です。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2016-06-01
ソプラノ・サックスをあれだけ激しく吹いて、音程がまったく揺らがないのは、
アンブシュアがいかにしっかりしているかってことですよね。

その大・大・大好きな山口のソプラノ・サックスを全曲で聴けるという、
涙ちょちょぎれる新作が出ました。
全曲ソプラノ・サックスのみで演奏したアルバムは、
山口のソロ10作目にして初じゃないですか。

プロデューサーの平野暁臣がライナー・ノーツに、
「彼のソプラノは日本ジャズ界で一二を争う表現力を備えています」と書いていて、
「一二を争う」じゃない、「一」だろと心の中で突っ込んだのですが、
「なんといっても真文さんの音色が美しい」と書いていて、
よくぞこのアルバムを企画してくれたと思いましたねえ。

ワン・ホーン・カルテットで、全曲山口のオリジナル。
ストレート・アヘッドなジャズで、『MABUMI』収録の「Thalia」、
『REGALO』収録の「Empty Mirror」「True Face」を再演しています。
山口らしい研ぎ澄まされた一音一音に、ただただ感服するばかりですよ。
直情型なプレイと制御の利いた冷徹なコントロールのバランスが、
山口のジャズの真骨頂でしょう。

今作では本田珠也の勇猛果敢なドラミングが聴きもの。
片倉真由子という人のピアノは初めて聴きましたが、
マッコイ・タイナーばりのどっしりとした揺るぎないプレイに感じ入りました。
真摯に音楽を追い求めてきたヴェテランならではの、
ビターで奥深い表現を味わえる傑作です。

山口真文 「VIENTO」 Days Of Delight DOD040 (2023)
山口真文 「MABUMI」 トリオ POCS9314 (1981)
山口真文 「REGALO」 イースト・ワークス・エンタテインメント MAB001 (1997)
コメント(2) 

コメント 2

Astral

さわりを聴いただけですが、素晴らしいですね。
本日新作発売記念ライブみたいで、お出かけですか?
もう少し早く知ってたら行ったのになぁ。
by Astral (2024-01-05 20:17) 

bunboni

え? あ、ほんとだ。
お茶の水のナルかぁ。懐かしい。
知ってたら、行ってたなあ。
あいかわらずライヴ情報に疎くってダメですね。
by bunboni (2024-01-05 20:30) 

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