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クロアチアのルーツ・ポップ ズリンカ・ポサヴェツ [東ヨーロッパ]

Zrinka Posavec  PJESME O LJUBAVI I TIJELU.jpg

なんの予備知識もなく買った、クロアチアの女性歌手のアルバム。
整った美しい発声とケレンのない歌いぶりに吸い寄せられました。
ピアノ、ギター、コントラバス、パーカッションの4人による
アクースティック・サウンドをバックに歌っています。
1曲をのぞいて、すべて主役のズリンカ・ポサヴェツの作曲で、
シンガー・ソングライター・アルバムのようですね。

どんな人なのかと調べてみたら、幼い頃から学んだ伝統音楽と
芸術アカデミーの教育機関で学んだクラシック声楽を組み合わせて、
14年からソロ活動を始めた人とのこと。
クロアチア全土の伝統音楽を採集し録音する活動も行い、
現在はザグレブの芸術学校で声楽教育者として歌唱指導をしているそうです。

21年に出した本作は、そんなズリンカのキャリアを生かして、
クラシックの唱法にクロアチアの民俗音楽や
オリエントな音楽要素を溶け込ませたサウンドが楽しめます。
余談ながら4曲目の ‘Kos’ なんて、
ダン・ヒックスの ‘I Scare Myself’ を思わせる。
やさぐれたオリエンタル風味のメロディで、ゾクゾクしちゃいましたよ。

洗練されたアレンジを聞かせる小人数による伴奏は、
1曲目を除いてジャズ的な語法を使わずにいながら、
きわめて現代的なフォーク・ジャズのアトモスフィアがあって、
民俗音楽を取り込んだ21世紀のワールド・ミュージック的表現にも思えます。

オーセンティックな伝統音楽からは遠く、
クラシック声楽の折り目正しさはあるものの、
エゴのない歌いぶりは、好感度大。
現代の女性シンガー・ソングライターにありがちな意識高い系の歌い口でないのも、
ぼくとしては安心して聴いていられるところなのでした。

Zrinka Posavec "PJESME O LJUBAVI I TIJELU" Croatia CD6115051 (2021)
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