清々しいガザル ナイヤラ・ヌール [南アジア]
あけましておめでとうございます。
2024年の年初めは、ナイヤラ・ヌールのガザルにしようと思っています。
暮れにエル・スール・レコーズへ寄ったさい、
原田さんがナイヤラ・ヌールの “NAYYARA SINGS FAIZ” の
インド盤LPを手に入れたということで聞かせてもらったんですが、
やっぱり、いいなあと二人で相好を崩したばかりなんですよ。
ナイヤラ・ヌールのこの名作は、
07年にインドで出たリマスターCDで聴いていましたが、
もう何十年も棚の肥やしとなったまま。
ガザルばかりじゃなく、インドやパキスタンといった南インドの音楽と
すっかり疎遠になっていたのに気付いて、
それじゃ新年にゆっくり聴き直そうと、愉しみにしていたわけです。
50年インド生まれのナイヤラ・ヌールは、
家族とともにパキスタンへ移り、プレイバック・シンガーとして活躍した人。
今回調べて初めて気づきましたけれど、
おととし22年8月20日に亡くなられたんですね。
ナイヤラ・ムールの名声は、プレイバック・シンガーとしてよりも、
現代ウルドゥー語の詩人が書いたガザルを数多く歌ったことで高まり、
清々しい歌声で聞かせたロマンティックな恋愛詩が絶賛されました。
ナイヤラの代表作は、
パキスタンの詩人で社会活動家のファイズ・アハマド・ファイズの詩に、
アルシャド・マフムードとシャーヒド・トゥージーが曲をつけた76年のアルバム。
のちにインドでリマスターCDが出たように、
パキスタン・インド両国で高い評価を得た、ガザル名盤中の名盤です。
シタール、タブラ、ハーモニウムなどの軽古典の楽器編成に、
ピアノ、ギター、ヴィブラフォンを加え、
のちのポップ・ガザルの原型ともいうべきサウンドにのせて、
ナイヤラの柔らかな発声が優美な世界へといざなってくれます。
気負いのない力の抜けた歌いぶりに、
アジア歌謡における歌唱の美学が詰まっていて、
おだやかで静かな正月を迎えるのに、うってつけのアルバムでしょう。
Nayyara Noor "NAYYARA SINGS FAIZ" EMI/Virgin 50999-500041-2-6 (1976)
2024-01-01 00:00
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