SSブログ

ルンバ・コンゴレーズ黄金時代のコンゴ・ファンク [中部アフリカ]

Congo Funk!.jpg

アナログ・アフリカの新作は、コンゴのファンクにスポットを当てたコンピレーション。
ルンバ・コンゴレーズ黄金時代を迎えていた、
コンゴ川両岸に位置するキンシャサとブラザヴィルという二つのコンゴの首都で、
ファンクがいかに咀嚼されていたかを示そうという企画、なのかな?

選曲は69年から82年までの独立系レーベルのシングル盤から取られていて、
デジパックのジャケットには、魅力的なシングル盤スリーヴがずらりと並んでいます。
さぁ、どんなコンゴ・ファンクが楽しめるのかと思いきや、
う~ん、企画意図をハズした選曲が目立つなあ。

タブー・レイ、ベラ・ベラ、セリ・ビジュー、ザイコ・ランガ=ランガの 4曲は、
まごうごとなきルンバ・コンゴレーズで、ぜんぜんファンクなんかじゃない。
タブー・レイ(ロシュロー)なら、
ジェイムズ・ブラウンを意識した曲がいくらでもあるっていうのに、
なぜこれを選んだのか?って感じで、ガックリ。
このアルバム、2000曲から14曲に絞り込んだというけど、
2000曲のセレクションじたいがダメだったんじゃないの?

そういう不満が残るコンピレではありますが、
趣旨にバッチリ沿ったファンクも、もちろん聞けます。
一番の聴きものが、レ・バントゥ・ド・ラ・カピタールの ‘Ngantsie Soul’。
これは最高のアフロ・ジャズ・ファンクですね。
8分30秒に及ぶタフなダンス・トラックで、
リズム・ギターのファンキーなカッティングがグルーヴを巻き起こし、
ホーン・セクションが重厚なサウンドを生み出し、
トランペット、サックス、トロンボーンのソロが熱演を繰り広げます。
さすがはブラザヴィルのトップ・バンド、演奏力の高さは随一といえます。

対抗馬となるキンシャサ代表、OK・ジャズの2曲もスゴイ。
69年という時期の早さに、フランコの先見性がうかがえるとともに、
優雅なルンバ・コンゴレーズを完成させたOK・ジャズが、
いち早く流行を取り入れた柔軟性にも感心させられます。

OK・ジャズがファンクを取り入れたのはごく短い期間で、
新境地を開拓しようと試行錯誤していたフランコが、
ファンクに熱心なメンバーの意見を取り入れたという面もあったようですね。
今回のコンピレで、ロロことローラ・ジャンギ・カミーユが、
その一人だったことを知りました。

御大フランコ自身もこの時期、ファンク調の曲を作曲し、
ジェイムズ・ブラウンばりのシャウトなどもしてはいたものの、
「ジェイムズ・ブラウンのダンスはまるでサルみたいで下品だ」と
公言していたフランコなので、ロシュローほど熱は入らなかったようですね。

意外な聴きものだったのが、アベティの弟のギタリスト、アブンバ・マシキニ。
MBTズ名義の ‘M.B.T.'s Sound’ では、ワー・ワー・ワトソンばりの
ミュートした単弦リフを聞かせ、アベティ&レ・ルドゥタブル名義の
‘Musique Tshiluba’ ではファズを利かせたロック・ギターを弾いています。
全盛期にはジミ・ヘンドリックスと比較されるほどだったというから、
いかに才能豊かなギタリストだったかがわかります。

優美なルンバ・コンレーズを生み出した土壌ゆえ、
ファンクと呼ぶにはまったりしたリズムが、コンゴらしいところでしょうか。
一過性のブームに過ぎなかったコンゴのファンクですが、
振り返ってみれば、なかなかに面白い録音が残されていて、
企画に沿った選曲が徹底されていたら良かったんですが、そこが悔まれます。

Orchestre O.K. Jazz, Les Bantous De La Capitale, M.B.T’s, Orchestre National Du Congo and others
"CONGO FUNK!: SOUND MADNESS FROM THE SHORES OF THE MIGHTY CONGO RIVER 1969-1982" Analog Africa AACD098
コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。