シャバービー再起動 ヘバ [中東・マグレブ]
「アラブの春」で突然死してしまったシャバービー。
あの百花繚乱だったシャバービー・シーンはなんだったのかと思うほど、
革命以降、見事なほどぱったりと影を潜めてしまいました。
最大手のロターナのリリースも、ビッグ・ネームのみとなってしまい、
シャバービーの興隆の内実は、潤沢なオイル・マネーの余剰利益が生んだバブルだったと、
白日の下にさらされたかのようですね。
じっさい革命後のシャバービーのシンガーたちは、
政府の手先芸能人として糾弾されもしているようで、
旧体制派ど真ん中といえるアムル・ディアブなど、
革命で犠牲になった若者への追悼曲を歌ったりして、生き残りに必死のよう。
今後のアラブはシャバービーを否定して、ロック/オルタナティヴの時代になっていくんでしょうかね。
それはそれで残念だなあと、ロックぎらい・親歌謡派のぼくなどは思ってしまうのですが、
「まじか」という妙な名前のレーベルから出た、
新人シャバービー女性歌手の新作を聴くことができました。
調べてみると、エジプトのレコード会社アラム・エル・ファンが社名変更して、マジカになったようです。
アラム・エル・ファンは、ロターナがそのお株を取る以前、
シャバービーの中心的なレコード会社でしたね。
ヘバは、ぼくの好みの切ないメロディをしっとりと歌う人で、
こういうシャバービーの新作を聴けたのは1年ぶり。
都会的な洗練された歌を歌う人で、
古臭いちゃかぽこアレンジや、打ち込みがうるさい曲も一部あるものの、
喉の渇きを癒されるようで、ささいな不満も帳消しで楽しめました。
マジカのレーベル・サイトを覗いてみたら、シャバービーの歌手たちの近況や
新作ニュースもたくさん載っていて、まだまだ期待が持てそうです。
Heba "HEKAITY MAAK" Mazzika MAZCD204 (2011)
2012-01-16 00:00
コメント(2)
このCD、あるカタログを見てビジュアルが気に入り、You Tubeで歌を聴いて おっしゃる通り 切ないメロディをしっとりと歌っていて、これは買わなければと注文したのですが、もうすでに現地でも品切れで入手困難 とのことで手に入れることが出来ませんでした。
でも諦め切れません。どうにか手に入れることが出来ないものでしょうかねえ。
by ナックル (2012-01-17 22:23)
最近のアラブ・ポップスはMP3への移行が急激に進んでいて、
CD撤退がかなり進んでいることを実感させられます。
多くのオンライン・ショップにも新作が全然載らないですもんね。
気になったものは、チャンスを逸さず、入手するしかないのかも。
ちなみにぼくが入手したCDはライナーぺらぺら、
ディスクはCD-Rという、トホホなものでした。
by bunboni (2012-01-17 22:40)