ポール・ジャクソンの裏名盤 エディ・ヘンダーソン [北アメリカ]
う~ん、この時代のクロスオーヴァーって、古くならないなあ。
フュージョンというネーミングに取って代わられる前のクロスオーヴァーは、
今聴き返しても、30年以上も昔のサウンドという感じがしません。
長年CD化を待ち望んでいたクロスオーヴァーの傑作、
トランペッターのエディ・ヘンダーソンが、
ハービー・ハンコック率いるヘッド・ハンターズの面々とともに録音した78年作です。
999円というお徳用盤で、ようやくCD化してくれました。
本当は日本盤を買うのはシャクなんだけど、
いつまで待ってもアメリカ盤は出ないので、仕方ありましぇん。
どちらかといえば知名度の低いアルバムですけど、
エレクトリック時代のハンコックが好きなファンの間では、裏名盤として知られている盤ですね。
エディ・ヘンダーソンは、90年代にビリー・ハーパーやケニー・バロンなどと共演して、
ストレイト・アヘッドなハード・バップ作もたくさん出しましたけど、
ぼくにとっては、この“MAHAL” がなんといっても思い出深いアルバムです。
エディの光沢感のあるトランペット・ソロ以上に、
ハンコックほかのメンバー全員によるアンサンブルのダイナミズムが、
このアルバムの最大の聴きどころとなっています。
1曲目のハンコック作の“Butterfly” は、
74年の“THRUST” に収録されたオリジナル・ヴァージョンを凌ぐグルーヴィーな演奏となっていて、
この曲最高のヴァージョンに仕上がっています。
グルーヴのカナメとなっているのが、ポール・ジャクソンのベース。
「ぐいのり」という形容がまさにピッタリの、
裏拍の絶妙なタイム感に、何度聴いてもゾクゾクしちゃいます。
スラップ奏法のベーシストがドラマーと同じビートを刻むことが多いのに対し、
スラップを使わないポール・ジャクソンは、ドラムスのビートとクロスしたり、
ビートの合間を縫うようなフレーズを畳み込むことによって、
バンド全体にウネリをもたらすグルーヴを生み出すのが特徴です。
ぼくはこういうタイプのベーシストが好きで、
チャック・レイニー、ポール・ジャクソン、アンソニー・ジャクソンの3人が、
マイ・フェバリット・ベーシスト(ツ)なんですね。
そんなグルーヴ・マスターの最高の名演が、このアルバムには存分に詰まっているわけで、
なかでも“Butterfly” は、クロスオーヴァー時代のジャズ・ファンクの名演といえます。
エディ・ヘンダーソン 「マハール(迷宮)」 EMIミュージック・ジャパン TOCJ50260 (1978)
2012-01-26 00:00
コメント(5)
いつも読ませて勉強させてもらってます
久々に来たら当方と同じようなエントリーが・・・
http://trinitymusic.at.webry.info/201202/article_1.html
エディー・ヘンダーソンのこんなのがCD化されてたんですね
さっそくアマゾンで買いました。
by Trinity (2012-02-07 14:45)
こちらこそ、貴エントリー、勉強になりました。
ポール・ジャクソン命ではありましたが、
恥ずかしながらマイク・クラークには注目したことはありませんでした。
もう一度“THRUST” のドラムスに集中して、聴き直してみます。
by bunboni (2012-02-07 21:55)
ありがとうございます
ところでマイーザを聴く会、やられるんですか?
マイーザ聴いてる人ってあまり居ないですよね・・・
http://trinitymusic.at.webry.info/201109/article_5.html
シモーニなんかもマイーザの影響が大ですね。 もっと聴かれてしかるべき
卓越した歌手だと思います。
by Trinity (2012-02-07 23:22)
たびたびすいません・・
マイク・クラークのベストは Thrust だと思います。
他のハンコックのアルバムやヘッドハンターズでも、Thrust の鬼気迫るドラミングには達していないような・・・
エディー・ヘンダーソンのアルバム到着が待ち遠しいです。
ポール・ジャクソンは千葉に住んでたんで、ずっとベースを習いに行こうかな、
と思ってましたが果たせず・・・・ 現在は神戸だそうです。
僕は東京なんでもう無理かと。
by Trinity (2012-02-07 23:26)
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by bunboni (2012-02-08 07:29)