無頼姉妹のミンストレル・ショウ チャラン・ポ・ランタン [日本]
ちょっと時間が経ってしまいましたが、去年の暮れの26日、
新宿のタワーレコードでチャラン・ポ・ランタンのインストア・ライヴを観てきました。
職場の忘年会を抜け出し、開演時間9時ぴったりに着いたら、すんごい数のお客さんにびっくり。
軽く100人以上はいて、こんなに人気があるとはツユ知らず、おみそれいたしやした。
こんな後ろじゃあ、ステージが見えないなあと思っていたら、
ぼくのすぐ真後ろからヴォーカルのももちゃんとアコーディオンの小春が、
この日発売の新作『たがいの鍵穴』の衣装で、ちんどんよろしく開演の呼び込みをしながら登場。
ジプシー・バンドと昭和歌謡をミックスした演劇的な曲の数々を、
小春のアコーディオンとももちゃんの切迫感あふれるヴォーカルで、はなからトばす、トばす。
ドSの姉妹二人がドMな客をイジるという、ライヴのお約束の図式も出来上がっているようで、
小春のMCも毒っ気たっぷり。どこまでも芝居っけあふれる二人の大道芸人ぶりに降参です。
途中から、愉快なカンカンバルカンのブラス3人にスネア・ドラムも加わり、
インストアにあるまじき1時間に及ぶ大熱演。
アンコール付きという大盤振る舞いで楽しませてもらいました。
思えば、チャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカンのアルバムを初めて聴いた二年前。
東欧ジプシーからトルコ歌謡にミュゼットまで呑み込んだ無国籍音楽をひっさげ、
女のドロドロとした嫉妬を練り込んだ歌詞に、こいつら、何ヤツと目を剥いたんでした。
「ムスタファ」を替え歌するくらいは、気の利いたミュージシャンなら思いつくでしょうけど、
「ハバナギラ」を鮮やかにカヴァーするに至っては、
かつてのコンポステラを思い出さずにはおれません。
コンポステラも同じ音楽性を持ちながら、一部のインテリにしか受けなかったのに対し、
この姉妹はみずからをカリカチュアライズする卓抜したセンスで、
楽々とポピュラリティを獲得していることに、なんだか軽い嫉妬を覚えたんでした。
『ただ、それだけ。』をものすごく気に入ったくせ、ブログに取り上げなかったのも、
素直にホメちぎるのが、なんかクヤしかったからかも。
あとから来たヤツは得だよなぁ、なんてね。
でも、もういいや。二人の才能を素直に賛美しましょ。
アルバムを重ねるごと、ますます深化するチャラン・ポ・ランタンの存在感はホンモノ。
ケレンやアクの強さに、好きキライがはっきり分かれそうですけど、
好きになりゃ、新曲よろしく「墓場までご一緒に」行けます(笑)。
キライなんつーたら、背中越しに「死ね!ブサイク」とかドナられそう(汗)。
彼女たちのパフォーマンスって、現代のミンストレル・ショウだと思いますね。
二人の無頼ぽい雰囲気も、どこまでが素でどこまでが演技だかわからず、
将来どーなっていくか予想も付かないところに、大器の可能性を感じさせます。
チャラン・ポ・ランタン 「たがいの鍵穴」 マスタード LNCM1019 (2012)
チャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカン 「ただ、それだけ。」 プラナ/バウンディ XQAY1104 (2010)
2013-01-08 00:00
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