気取りのないノスタルジック・ジャズ 老上海爵士楽団 [東アジア]
ジ・オールド・シャンハイ・ジャズ・バンドと、
そのものずばりなネーミングのバンド名がすべてを物語ってます。
ゴンザレス鈴木の呼びかけで、上海出身の美人シンガー巫慧敏(ウー ・ホイミン)に、
ブラック・ボトム・ブラスバンドとバン・バン・バザールのメンバーが合流したバンド。
CDはメイド・イン・中国で、逆輸入盤としてお店に並んでいました。
レトロねらいのバンドですけど、スノッブ臭がなく、ヒネりもないのが気に入りました。
選曲も「私の青空」「夜上海」「月光値千金」「夜来香」と、
戦前上海の定番中の定番ばかりで、ぜんぜんマニアックじゃないし。
アレンジもまっとーで、ごく普通。
かつての「上海バンスキング」のような演劇臭もありません。
演奏の方もストレイトで、ノスタルジックを特に強調するでなく、
腕達者なミュージシャンたちが楽しそうにプレイしているのが素直に伝わってきて、
なんとも爽やかです。
こういう企画だと、何か凝ったことをしたくなるものと想像しますが、
このバンドにはそういう欲目がないんですね。
それが結果として、すべていい方に出ていると思います。
巫慧敏の柔らかな歌い口と、フェイクを使わない素直な唱法がまたいい。
気取りなく丁寧に歌っていて、聴く者をリラックスさせてくれます。
異色の曲としては、ジャンプ・ナンバーを1曲だけ取り上げていて、
ルイ・ジョーダンのヒット曲“I Want You To Be My Baby” を歌っているんですが、
滑舌あざやか、リズム感もよくチャーミングに歌っていて、すっかり感心。
美人歌手というと、ルックス勝負で実力追いつかず、
スローでは雰囲気でごまかせても、リズムものになると途端に馬脚を現す人が多いので、
ちょっと先入観持って聴き始めたんですが、歌唱力は確かです。
なんとなく聞き覚えがある声だなと思ったら、
03年のサントリー烏龍茶のCMソングを歌ってた人なんですってね。
今週の11・12日、西麻布の新世界でライヴがあるとのこと。
新世界ならこのバンドにうってつけのハコで、ぜひ観に行きたいところなんですけど、
両日とも仕事があって残念無念。いつか観てみたいバンドです。
老上海爵士楽団 「上海玫瑰」 新匯集団 C2-X13600 (2013)
2013-09-09 00:00
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