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アベオクタの藍染め ユスフ・オラトゥンジ [西アフリカ]

Yusufu Olatunji_Plays Sakara Volume 2.jpg   Yusufu Olatunji_Plays Sakara Volume 3.jpg

『ギニア湾とヨルバ族のアディレ』という展覧会が今、
三軒茶屋キャロットタワーの生活工房ギャラリーで開かれています。
http://www.setagaya-ldc.net/program/233/
会期初日の1月25日にトーク・イヴェントが行われ、
東京かんかんの代表取締役でアフリカ美術研究家の小川弘さんによる、
ナイジェリア、ヨルバ人の伝統的な藍染めアディレのお話を聞いてきました。

ぼくは90年にナイジェリアへ行った折、
アディレの生産地として有名なアベオクタの釜場を見学してきましたが、
小川さんはじっさいの藍染めの現場を見ることができなかったとのこと。
何度もナイジェリアへ飛び、アディレを大量に買い付けてきた小川さんでさえ、
足を踏み入れることができなかったとは、意外でした。
そういえば、写真家の板垣真理子さんも、アベオクタの染色場に立ち入ることの難しさを、
著書『歓喜 Ayo 記憶の中の笑顔、官能の西アフリカ』で書かれていましたね。

藍染めは女性の仕事で、その現場に男性が入るのを嫌うせいなのか、
それともよそ者ぎらいのヨルバ人の閉鎖性のせいなのかは判然としませんが、
ぼくもあの時半日がかりで交渉し、高額なチップも要求されて、ようやく見学できたのでした。
その場で買ったアディレが、市場で買うより安かったのは幸いでしたけれども。

19901113_Abeokuta.jpg

ナイジェリア滞在時に雇っていたドライヴァーのイシャカが、
アベオクタの藍染めの釜場を仕切っていたマダムを口説いてくれたんですが、
その時に決め手となったのが、「この日本人はヨルバの伝統文化を研究していて、
ユスフ・オラトゥンジのレコードもたくさん持っている」といったイシャカのセリフでした。

イシャカの思い出については、以前にも触れたことがありますけど、
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2012-05-15
アベオクタのオグン・ステイト・ホテルのレコード・ショップで、
ユスフ・オラトゥンジのレコードがまとまって置いてあるのを発見した時のこと。
ぼくがかたっぱしからレコードを引き抜いていると、
「お前、これ買うのか! ユスフ・オラトゥンジを知っているのか?」とめちゃくちゃ驚いていました。

当時ユスフ・オラトゥンジのサカラは、とっくに時代遅れの古臭い音楽となっていたからで、
サカラのレコードを外国人が買うなんて信じらんない!というわけです。
じっさいジュジュやフジが大好きなイシャカも、サカラは聞かないなんて言ってましたからね。
まあぼくら日本人だって、浅草あたりに外国人を案内していて、
そいつが浪曲師二代目広沢虎造のレコードを嬉々として買ってるのを見たら、
そりゃあ驚きますよね。

イシャカにとって、そのことがよほど印象的だったのか、
ぼくをヨルバ文化の研究者に仕立てあげ、
サカラ好きの筋金入りのヨルバ信奉者とアピールしてくれたわけです。
アベオクタ生まれのミュージシャンといえば、
世界的にはフェラ・クティがもっとも有名なわけですけど、
ヨルバ文化のご当地にしたら、ユスフ・オラトゥンジに勝る者はいないでしょう。

ユスフ・オラトゥンジの尊称「ババ・レグバ」には、
かつてエグバ王国の中心地であったアベオクタの誇りが込められています。
あの時の思い出から、ユスフ・オラトゥンジとアベオクタの藍染めは、
ぼくの中で分かちがたいものとなっているのでした。

[10インチ] Yusufu Olatunji "PLAYS SAKARA VOLUME 2" Philips PR13413
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