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蘇る19世紀のオスマン古典歌曲 [西アジア]

GIRIZGAH, Alaturka Records.jpg

地味といったら地味なアルバムなんですけど、
そんなところが美味となっている、トルコ古典歌謡復興ここに極まれりの2枚組です。
トルコのレコード会社カランの制作かと思いきや、カランはディストリビュートだけで、
12年にスタートした新興レコード会社、アラトゥルカの初リリース作品なのだそう。
こんな激シブなアルバムが第1作なんだから、スゴイな。
こういう音楽にちゃんと需要があるっていうことですよね。

アラトゥルカ・レコーズの主宰者で、プロデューサーのウール・イシュクが弾く
ウードにチェロをはじめ、ネイ、カヌーン、ケマンチェ、ルバーブ、
ヴァイオリン、チェロ、クラリネット、ダルブッカ、デフをバックに、
男女12人の歌手たちがオスマン古典歌曲を淡々と歌い綴った内容なんですが、
レパートリーがすごい。

近年の古典歌謡ブームで女性歌手たちが取り上げられるような20世紀半ばの曲ではなく、
さらに古い19世紀の曲を取り上げているんですね。
トルコ語オンリーでさっぱり読めないライナーノーツには、
それら作曲家たちの略歴が載っているんですが、生没年ともに19世紀の人もいたりして、
もっとも古いオスマン古典歌曲を聴けるアルバムといえそうです。

そんないにしえのオスマン古典歌曲を歌う12人の歌手たちの、
いともさりげない風情がいいんですね。
大仰さやいかめしさなど微塵も感じさせない歌い口のおかげで、
無理なく歌の味わいに身をゆだねることができますよ。
最初に、地味が美味になっていると書いたのはそういうことなんですが、
余計な装飾を削ぎ落とし、芸術的洗練を極めた典雅な歌唱表現が、
たっぷりと披露されているというわけです。

秋に向かうこれからの季節、虫の音とともに宵時に聴くのに、
またとない相棒になってくれそうです。

V.A. "GIRIZGÂH : ALATURKA RECORDS / TAŞPLAKLARIN KALDIĞI YERDEN" Kalan 645 (2013)
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