ンドンボロからスローなルンバへ フェレ・ゴラ

コンゴ音楽のメインストリームといえば、ンドンボロ。
アゲアゲのそのダンス・ミュージックぶりは、まあレゲトンみたいなもんで、
ＣＤ買って部屋で聴くような音楽じゃないよなあと、
ずっと背を向けていたんですけど、
最近ではンドンボロも、少しずつ変化を遂げていることを知りました。

全編セベンの高速ダンス・トラックのンドンボロは、
セックスさながらの腰降りダンスに、禁止令まで出る騒ぎとなりましたけれど、
流行も行くところまで行くと、揺り戻しが来るというか、
いまではスローなルンバが流行になっているというのだから、面白いですね。

今回知ったンドンボロの男性シンガー、フェレ・ゴラは、
ウェンゲ・ムジカ・メゾン・メール、レ・マルキ・ド・メゾン・メール、
コフィ・オロミデのカルティエ・ラタンというトップ・バンドを渡り歩いてきた若手シンガー。
07年にソロ・デビューし、今回聴いた12年のアルバムは、
なんとアンプラグドなプロダクションの異色作となっています。

アクースティック・ギターを中心に、ウッド・ベースとパーカッションが控えめに付き、
曲によりストリングス・セクションが加わるという、まるで室内楽のような編成。
当然サウンドのほうも、アゲアゲのンドンボロであるはずがなく、
うるさいシンセサイザーなど、まったく登場しません。

レパートリーは哀愁に満ちたスローなルンバばかりで、
アフリカ人女性をウットリとさせるのに十分なラヴ・ソングが並ぶという趣向。
フェレの歌も若い色気たっぷりの、セクシーな歌声を聞かせてくれます。
ハイトーンの美しさが絶品で、う～ん、いいシンガーじゃないですか。気に入りました。

アルバムはスタジオ録音に拍手をカブせたニセ・ライヴ仕立てで、
オーヴァーダブ丸わかりなチープな編集ぶりは正直、シラけます。
ベイビーフェイスの『MTV・アンプラグド』を意識したんですかねえ。
意図不明ですけれど、フェレの甘い歌いぶりに許しましょう。

Ferre Gola "ACCOUSTIQUE SHOWCASE 1789" Advancia no number (2012)

コメント 5

ここ１０数年の新しいコンゴレーズ・ルンバは全く苦手で、あの最初からドンチャン騒ぎの音楽が「ンドンボロ」と呼ばれているのも今日初めて知りました。フェール・ゴラのスタジオ盤も彼の声は好きなんですが、あのうるさい音をＣＤ２枚もとてもじゃないですが聴けません。
ところがこのアルバム素晴らしいですね。フェールの優しい歌声にメランコリックなアコギそれにストリングスがからむ。結構ジーンときます。今こんなスローなルンバが人気があるんでしょうか？

by えすぺらんさ (2014-09-18 20:45) 

ンドンボロについてはまったく同感なんですけど、最近はこういうスローなルンバも人気なんだそうです。アルバムに数曲という箸休め的な扱いばかりでなく、このアルバムみたいに、全編スローというアルバムも作られるようになったようで、それなら聴こうかという気もおきますね。
by bunboni (2014-09-19 19:03) 

最近購入して聴きました。
腰振りダンスのンドンボロが大好きな僕には、チョットなぁ~?
でしたが、音楽的に向上させようという気持ちは素晴らしいことだと思います。
でも、腰振りダンスのおバカのほうが、僕には純粋で魅力いっぱいの音楽に聴こえます。
おバカが好きな、おバカなリスナーの意見でした。
失礼しました！
by イワタニ (2016-07-23 17:51) 

いやあ、おバカなリスナーはぼくの方で、腰振りダンスが真髄の音楽にリスニング・ルームでケチつける方がお角違いなんでしょう。
「おバカなリスナー」はぼくで、イワタニさんは「美しいダンサー」なんじゃないすかね。
by bunboni (2016-07-23 18:43) 

エッ！！
やめてくださいよ。bunboniさんから「美しいダンサー」なんて言われると、びっくりですよ。
大衆音楽の本質とはなぁ・・・
なんて説教くらうのを覚悟してたのに。
bunboniさん、歳をとるのはまだ早いですよ。
音楽の向上のため、音楽が「作品」として評価されることは、良い面でもあると思います。
僕は、大衆音楽ファンです。作品だけの価値では、大衆は付いてきません。そんなのは、一部の音楽ファンだけの音楽だと思います。大衆音楽は敷居が低いものだと、bunboniさんから教わりましたよ。

by イワタニ (2016-07-23 19:53)