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ガーナの新感覚カルチュラル・グループ サクラ・アフリカン・オーケストラ [西アフリカ]

Sakra African Orchestra  NOFITELO.jpg

今のガーナ音楽で、キング・アイソバのようなネオ・トラディショナルな方向性というのは、
トレンドのひとつになっているのかもしれませんね。
そんなふうに思えたのは、アムステルダムを拠点に活動を始めた、
ガーナ音楽の新しいインディ・レーベル、チョップ・タイムの第1弾作品。

サクラ・アフリカン・オーケストラは、パーカッショニストのニ・アジェテイ・アジェイによって
80年代後半に結成されたグループ。「サクラ」とはガ語で、「変革」を意味するそうです。
ニ・アジェテイ・アジェイが叩くガーナの伝統的な太鼓パンロゴ、ゴメのほか、
バラフォン、笛、ジェンベ、カウベル、コーラスの11人がクレジットされています。
その伝統的な楽器編成は、ガーナの伝統音楽を総合的に取り入れた
従来のカルチュラル・グループと変わりばえのないものですけれど、
リズム感覚やハーモニー・アレンジに、従来のグループにない新しいものを感じます。

それをはっきりと示しているのが、3曲目のレゲエ・ナンバーで、
カウベルがレゲエの基本ビートを叩き、バラフォンと笛は曲のメロディをなぞり、
ジェンベが自由にソロを取るという、これぞアフリカン・レゲエと呼びたいユニークな仕上がり。
男性ヴォーカルと女性コーラスのハーモニーは見事にレゲエ・マナーで、
こんなレゲエのやりかたもあるのかと、新鮮な驚きをおぼえます。

また、“Africa Ji Wo Mang” が面白いんです。
まるっきりナイジェリアのジュジュじゃないですか。
トーキング・ドラムもギターもいないんですけれど、
メロディとリズムはどう聞いてもジュジュそのもの。
ライナーには、ニ・アジェテイ・アジェイがナイジェリアへ旅して、
レゲエを吸収したことが書かれていますが、ジュジュも一緒に覚えてきたんじゃないのかな。

このほか、リフレイン役とソロ役に分かれて生み出す2本の笛のアンサンブルも聴きもので、
華やかな響きを放つジェンベが自在に合いの手を加えるところも、
グループのサウンドを引き締める効果を果たしています。
従来のカルチュラル・グループの民俗的な演奏にありがちな、
笛やバラフォンなどのピッチのずれを感じさせないところにも、
彼らがフォークロアな音楽に安住していないことを示していますね。

そのチョップ・タイムの新作は、
80年代にジョン・コリンズのボクール・スタジオでレコーディングされた、
アフロ・ロックのシンガー、アマルテイ・ヘッヅオレの未発表録音。
このレーベルの嗜好どおり、伝統楽器をフィーチャーした変わり種の録音といえるんですが、
アフリカ風を装ったパチモンみたいな音楽に聞こえるのがツライ。

アマルテイは70年代にアフロ・ロックに伝統音楽の要素を加えて人気を呼んだ、
ヘッヅオレ・サウンズのリーダーとしても知られている人。
ヒュー・マセケラ絡みで注目されたこともあったヘッヅオレ・サウンズですけれど、
あのバンドもB級バンドだったなあ。

レーベル第2弾はぼくにはペケでしたけれど、
ネオ・トラディショナルなアフロ・ポップを目指すチョップ・タイム、
今後のリリースに注目したいと思います。

Sakra African Orchestra "NOFITELO (THE DESTROYER)" Chop Time Music CTM01 (2012)
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