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サレギのプリンセスからクイーンへ ヴァイアヴィ・シラー [インド洋]

Vaiavy Chila.jpg

社会人類学を専門にマダガスカルで長年研究されている深澤秀夫さんから、
最近のマダガスカルのポップスで面白い人を、いろいろと教えていただきました。
なんせマダガスカルのローカル・ポップはあまりに数が多くて、
どの人を聞けばよいのやら、困っていたところだったんです。

現地を誰よりよく知る深澤さんの水先案内があれば鬼に金棒なわけで、
教えていただいた名前を頼りにCDを聴いてみたら、これが全部大当たり。
うっひゃー、マダガスカルのポップ・シーン、活気に溢れていますねえ。
見てくれこそ、ボロっちい感は否めないローカルCDですけれど、
中身の音楽はピカイチ。欧米人が関わってお行儀よく作られたアフリカン・ポップスを
蹴散らすような痛快なアルバムばかりで、すっかり嬉しくなってしまいました。

まず、このけばけばしいジャケをご覧くださいな。
まるでテクノ・クンビアみたいなお水っぽいデザイン。
これ、アフリカン・ポップスのセンスと、ちょっと違うよねえ?
強烈な場末感漂うCDは、水先案内がなければ、とても手を伸ばせません。

もろウィッグとわかるパツキン・ヘアのぽっちゃりオネエさんは、ヴァイアヴィ・シラー。
マジュンガ州北西部出身のサレギの女性歌手です。
のっけから、スピード感いっぱいのハチロクのサレギが飛び出して、
うひゃーとのけぞり、目の覚める思いがしました。
主役をステージに呼び込むかの如く、
コーラスが「シ・ラー! シ・ラー! シ・ラー! シ・ラー!」と掛け声を上げ、
いきなりもう総立ちなライヴ気分。いやー、アがるねえ!

ブレイクを多用したリズム・アレンジ、
打ち込みなど一切使わない、人力リズム・セクションの小気味よさといったらありません。
シンセを使いつつも、アコーディオンを巧みに絡ませるので、
サウンドが単調にならず、チープな印象もぜんぜんないところが花丸もの。

ティアンジャマというグループのダンサーからキャリアをスタートし、
歌手に転向してからは、サレギのトップ・グループ、
ジャオジョビのジュニア・メンバーなどの活動を経て、
04年にソロ・デビューをしたシラー。

サレギ初の女性歌手で、「サレギのクイーン」と称されるニニ・ドニアにあやかって、
当初シラーは「サレギのプリンセス」と呼ばれたそうですが、
人気の移り変わりが激しいマダガスカルのポップス・シーンにあって、
いまや「サレギのクイーン」の称号はシラーのものになってしまったのだとか。
それもナットクの、全編ゴキゲンなダンス・ミュージック、
サレギ100%なヴァイアヴィ・シラー、11年の4作目です。

Vaiavy Chila "ZAHO TIAN’NY VADIKO" Tropik Prod no number (2011)
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