元祖シャンガーン・エレクトロ=ツォンガ・ミュージックを掘り下げて【後編】 [南部アフリカ]
ギターを使うのはオールド・スクールなツォンガ・ミュージックで、
ニュー・スクールはキーボード使いということを、前回の記事の最後にお話しましたが、
そこらへんの感覚は、ツォンガ・ディスコで一世を風靡したペニー・ペニーが引退した後、
ペニー・ペニーのツォンガ・ディスコを引き継いだジェネラル・ムズカを聴くと、
もっとよくわかります。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2013-12-04
ジェネラル・ムズカの世代になると、ギターを使わずにキーボードだけ使っているといっても、
リズムの感覚は痙攣するようなツォンガ伝統のビートではなく、
タメの効いた重量感のある、どっしりとしたビートを特徴としているんですね。
ムズカのスタイルはクロスオーヴァーと呼ばれているそうで、
ポップ/クワイトのサウンドとクロスオーヴァーしているということのようです。
面白いのはラストのリミックス・トラックのみ、
ハネるリズムの典型的なツォンガ・エレクトロが聞けるところでしょうか。
もっとクワイト寄りのツォンガ・ミュージックというと、ジョー・シリマニという人がいて、
08年作の“MIYELA” では、四つ打ちのビートがまんまクワイトなトラックを聞かせてくれます。
こうなると、ツォンガ・ミュージックの個性が聴き取りにくいかと思うんですが、
そこにツォンガらしいビートや、キュートなシンセ音が交わって、
なるほどツォンガ・ディスコの系譜の人なんだなということがわかります。
このアルバムなんて、ツォンガ・エレクトロとクワイトをミックスさせてポップに聞かせた快作で、
広くヒットしそうな気がしますけれども。DJプレイにも、ぴったりじゃないですかね。
そして最後は、シャンガーン・エレクトロ・サウンドの真打ちともいえる、
リンポポ州北部マラムレレを代表するシンガー、マツワ・ベムダことフレディ・マシンギ。
残念ながら06年に亡くなってしまった人なんですが、
今回1枚だけ手に入れた没後リリースの07年作が強烈。
痙攣するようなせわしないビート、飛び交うファニーでキュートなシンセ音。
ちりちりと16分音符を散らかすギターに、とぼけたヴォーカル。
さすが、ツォンガ・ミュージックの父と形容されるだけのことはあるサウンドで、
これはオネスト・ジョンズ盤を凌ぐ衝撃です。
彼が生み出したサウンドこそ、シャンガーン・エレクトロのオリジナルといえそうです。
General Muzka "OFF DUTY" no label CDS013 (2010)
Joe Shirimani "MIYELA" Sony/BMG CDPAR5030 (2008)
Matshwa Bemuda & Magenge Sisters "CHOM NA CHOM NO.10 - NCICA MINGOMA" no label no number (2007)
2015-07-23 00:00
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