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伝説のエンボラードル メストリ・ガロ・プレート [ブラジル]

Mestre Galo Preto.jpg

「黒鶏」のニックネームを持つメストリ・ガロ・プレートこと、
トマス・アキノ・レオンが、81歳にして初レコーディングをした作品。
ガロ・プレートというと、ネルソン・サルジェントと縁の深いショーロ・グループが
思い浮かぶところですけれど、この人は、ノルデスチのココの歌い手です。

35年、ペルナンブーコ州アグレスチのキロンボの生まれ。
12歳でレシーフェへ出て、イモの行商をしながら、
ココやエンボラーダを歌っているところを見出され、
ラジオに出演したところから、歌手のキャリアをスタートさせたといいます。

レコーディングの機会には恵まれなかったものの、
十分なキャリアを持つ実力者なので、キレのある歌いっぷり、
リズムへのノリは、81歳という年齢をまったく感じさせません。
歌声こそ老いは隠せないとはいえ、それとて枯れた味わいとなって、
得難いコクがありますよ。

ココ、エンボラーダ、マラカトゥといった北東部音楽を、
パンデイロ、ザブンバ、ガンザなどの打楽器アンサンブルに、
女性コーラスを交え、華やいだ雰囲気が楽しいですねえ。
ド・ド・ド・ド・ドッ♪と合いの手のように入るザブンバのビートが、
腹にずしんと響いて、キモチいいったらないですね。

数曲でアコーディオンも加わりますけれど、
打楽器だけの伴奏でも、ぜんぜん退屈しませんね。
ココやエンボラーダは、詩の即興に注目されるあまり、
メロディは単調といったものも多いんですけれど、
メストリの書く曲はとてもメロディアスで、ポップともいえます。

Mestre Galo Preto "HISTÓRIAS QUE ANDEI" no label GLP2016 (2016)
コメント(4) 

コメント 4

ペイ爺

うわあ、イイですねー。

ジャケットに描かれたポートレイトも、この人の印象や風情だけでなく、「音楽」ともスゴーク match していますよね。

まるで、熊谷守一の絵みたーい。

by ペイ爺 (2018-03-29 12:30) 

bunboni

うわはは、だいぶデフォルメした熊谷守一ですかね。背景の色使いに、そんな感じがありますね。回顧展は観に行かれましたか。国立近代美術館でやるとは、ずいぶん変わったものです。
by bunboni (2018-03-29 20:26) 

ペイ爺

>回顧展は観に行かれましたか。
行きませんでした。人がいっぱい来る(であろう)展覧会が昔から苦手なんで…(苦笑)

以前、もともと熊谷の住居だった豊島区立熊谷守一美術館に何度も何度も行ったので…。あまり人がいないシーンとしたギャラリーで、穴の開くほど観て観て観まくりましたねー。
いやあ、至福の時でしたよ。

熊谷の絵は、フォルムとか色の響き合いとかが リズミカルで、一見シンプルなんですけど、実は複雑で観飽きることがないんです。もちろん自分にとっては、なんですけど。

Mestre Galo Preto の音楽も自分にとっては同じ感じ、感触がするんです。素晴らしいっ!としか言いようがありません。

あ、そーいえば風貌も白髭とか、熊谷と似てるのかもー?(笑)
by ペイ爺 (2018-03-30 18:24) 

bunboni

熊谷さんはぼくにとって、特別な画家です。

友達の祖父が熊谷守一の超貧乏時代の蒐集家で、熊谷の作品をたくさん買ってあげて助けていたことがあり、譲り受けたお父さんから作品をよく見せていただいたものです。
そんな縁が高校時代からあったせいか、大学の時にアルバイトで貯めた金で、熊谷さんのサインの入った「猫」の複製(フランスで制作した特殊シルクスクリーン)を無理して買ったものです。ずっと飾っていたせいで、すっかり退色しちゃいましたけど、もう1点ぼくの父が買った「薔薇」の複製の方を今は飾っています。
回顧展は(案の定)混んでませんでした。
by bunboni (2018-03-30 20:39) 

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