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イエメン・ユダヤ詩の祈り イエメン・ブルース [西アジア]

Yemen Blues  SHABAZI.jpg

イスラエルのミクスチャー・グループ、イエメン・ブルースの新作。
前作が15年の “INSANIYA” だから8年ぶりでしょうか。
13年の豪快なライヴ盤にも、ブッたまげましたよねえ。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2019-05-29

奔放な歌いっぷりを聞かせる
イエメン生まれのジューイシュのラヴィッド・カハラーニーと、
クォーター・トーンを出せるトランペットを演奏するイタマール・ボロコフや、
ベース兼ウード奏者シャニール・エズラ・ブルメンクランツなど、
実力派ミュージシャンを揃えたイエメン・ブルースは、アラブ世界、東アフリカ、
ユダヤ文化の交差点であるイエメンが生んだ音楽をベースに、
ファンクやジャズのエネルギーを借りた音楽性のグループ。

新作は、17世紀のイエメン・ユダヤ詩黄金時代に輩出した二大詩人の一人、
ラビ・サーリム(シャローム)・シャバズィーの詩に、
ラヴィッド・カハラーニーとシャニール・エズラ・ブルメンクランツが曲をつけ、
アレンジ、プロデュースも二人が行って制作されました。

今作ではラヴィッドはゲンブリを弾いておらず、歌に専念していて、
サウンドのキー・パーソンとなっているのは、トランペットのイタマール・ボロコフですね。
トランペットを多重録音してサウンドに厚みを与え、
控えめにオルガンも演奏していて、ハーモニーを加えています。
レコーディングはテル・アヴィヴで行われていますが、1曲ニュー・ヨーク録音があります。

この曲のみ、ラヴィッド・カハラーニーとシャニール・エズラ・ブルメンクランツのほかは
メンバーが変わっていて、トロンボーンとトランペットの2管に、
バック・コーラス6人が付いたゴージャスなもの。
なんとドラムスは、12年にダンプスタファンクで来日したニッキー・グラスピーですよ。
ドライヴ感たっぷりの演奏で祝祭感のあるこのトラックが、今作のハイライトですね。

野外録音のラスト・トラックは、強い風が舞い鳥がさえずるなか、
ラヴィッド・カハラーニーが朗々とした声で、詩を吟唱します。
その揺るぎないこぶしの逞しさが、イエメン・ユダヤ詩の祈りなのでしょうか。
強く胸に訴えるものがあります。

Yemen Blues "SHABAZI" Music Development Company MDC033 (2023)
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