すっぴんヴォーカル メアリー・ジェーン・ラモンド [北アメリカ]
ジュリー・ファウリスの新作を聴いてると、「すっぴんヴォーカル」っていいなあと、つくづく思います。
生硬でぶっきらぼうな声質ともいえるんですけど、その天然の美しさには、
いっさいの人工的な甘味料が加わっていない、自然のほろ甘さがあります。
ジュリーと出会う前にも、すっぴんヴォーカルで大好きだった人に、
カナダのメアリー・ジェーン・ラモンドがいたのを思い出し、ひさしぶりに聴き返してみました。
メアリー・ジェーン・ラモンドはケープ・ブレトン島に残るガーリックの伝統文化を研究しながら、
スコットランドの移民が伝えてきたゲール語の歌を精力的に採集し、
それらの伝承歌を集めた94年のデビュー作で注目を集めた人です。
ぼくもそのデビュー作で彼女のファンとなりました。
ピアノとフィドルとギターのみの伴奏で歌ったこのアルバムは、
とびきり純度の高いトラッド作品に仕上がっており、
フィールド・ワークの成果ともいえる労働歌をアルバムのレパートリーに加えるのは、
その後メアリーの定番となりました。
97年の2作目からはガーリックの伝統を堅持しつつ、モダンなアレンジを取り入れた
斬新なサウンドで注目を集めるようになり、ちょうどその2作目を出した直後の97年10月に、
暴れん坊フィドラーのアシュレイ・マックアイザックとともに来日しています。
渋谷のクラブクアトロのライヴで、メアリーはアシュレイのオープニング・アクトを務めました。
楽屋へ押しかけるつもりでいたんですが、アシュレイのライヴが終わり、客電が点いたら、
ぼくのすぐそばにメアリーが立っていたのでびっくり。
さっそく声をかけてサインをもらったのですが、デビューCDを見てメアリーもびっくりしていました。
自主制作に近いインディ・アルバムだったので、
まさか日本で聴いている人がいるとは思わなかったとのこと。
あなたのファンは日本にも大勢いますよと言うと、とても喜んでいました。
ぜひ今度はメイン・アクトで来日をとお願いし、
メアリーもぜひ実現したいと満面の笑みを返してくれましたが、
残念ながら実現しないまま、時が経ってしまいましたね。
Mary Jane Lamond "BHO THIR NAN CRAOBH" B&R Heritage Enterprises BRCD0001 (1994)
Mary Jane Lamond "SUAS E!" Turtlemusik 268842000-2 (1997)
Mary Jane Lamond "LÀN DÙIL" Turtlemusik 26884 20042 (1999)
Mary Jane Lamond "ÒRAIN GHÀIDHLIG : GAELIC SONGS OF CAPE BRETON" Turtlemusik 02-50889 (2000)
Mary Jane Lamond "STÒRAS" Turtlemusik 02-06363 (2005)
2009-11-01 00:28
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