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エチオ・ジャズ前史 ムラトゥ・アスタトゥケ [東アフリカ]

Mulatu Astatke.JPG

エチオ・ジャズ生みの親ともいえるエチオピア音楽の巨匠、ムラトゥ・アスタトゥケの
60~70年代録音を収録したCDがストラットから出ました。

今年の春先にストラットから出た、イギリスのファンク・ジャズ・ユニット、ザ・ヘリオセントリックスと
ムラトゥとの共演新録は???でしたけど、これは前のめりになりました。
なんといっても、ムラトゥが才気をあふれさせていた65~75年の録音ですからね。
エチオピーク第4集とのダブリ7曲と、曲の並びがクロノロジカルでない点が惜しいんですけれど、
エチオ・ジャズ完成前の前史ともいえる60年代録音を含めた本盤は、聴きどころが満載です。

ムラトゥは60年代にロンドンとニューヨークへ音楽留学してジャズを学び、
当時流行していたラテン音楽も吸収しながら、
70年代にエチオピアへ帰国後にエチオ・ジャズを完成させます。
エチオピーク第4集は、帰国後の72年と74年録音のエチオ・ジャズを選曲していますが、
本盤はラテン音楽に影響された60年代録音も加えて選曲したのがミソとなっています。
選曲者はサウンドウェイ・レコードのオーナーでもあるマイルズ・クレレ。

60年代ニュー・ヨークでカルト的存在だったレーベル、ワーディにムラトゥが残した
“AFRO-LATIN SOUL”(66年)は、再発LPで一部のファンには知られていたとはいえ、
今回の収録で初めてそのユニークなエチオ・ジャズとラテンの邂逅を知る人も多いと思います。
ほかにも、69年ロンドン録音のスティール・ドラムをフィーチャーしたブーガルー・ナンバーや、
バチーダを刻むギターをフィーチャーしたボサ・テイストの曲なども収録されていて、
ミスティックなエチオ・ジャズばかりではないムラトゥを知るのに、格好の選曲となっていますね。

一方、テラフン・ゲセセやムルケン・メレセなどのヴェテラン歌手をフィーチャーした、
オリエンタル・テイストのエチオピア演歌もたっぷり楽しむことができます。
本作で初めて聴いた曲でぼくが一番気に入ったのは、
フィリップス・エチオピア・レーベル初の録音ともなった70年録音の“Ebo Lala”。
エチオピア南西部グラゲ人の伝統的なメロディーとリズムを取り入れた豪快なトラックです。

Mulatu Astatke "NEW YORK - ADDIS - LONDON : THE STORY OF ETHIO JAZZ 1965-1975" Strut STRUT051CD
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