お悔やみ 永田法順 [日本]
最後の琵琶盲僧と呼ばれた、宮崎県延岡市の天台宗浄満寺のご住職、
永田法順さんが、24日に74歳でお亡くなりになりました。
2歳の時に病気で失明、12歳で浄満寺に弟子入りし、琵琶を弾き語りながら、
生涯、地元の檀家を回って、五穀豊穣や無病息災を祈ってこられた方です。
世界中の音楽を愛好するワールド・ミュージック・ファンも、
純邦楽は聴かないという方が多いので、ご存知ない方も多いでしょうが、
ぼくは永田法順さんを、ヌスラット・ファテ・アリー・ハーンやフクウェ・ザウォーセと肩を並べる
日本人歌手と尊敬していたので、訃報を聞いて呆然としています。
法順さんの倍音がたっぷりと出る声には、シャーマンのような魔力があります。
ドローンと倍音が同時に鳴っているようなその独特の発声は、
どんな長い詠唱でも一定の調子を保ち、まったく乱れることがありません。
リズミカルな釈文には、呪術的な民間信仰と通俗化した仏教が
ごちゃまぜになった大衆芸能のパワーが溢れ、浪曲さながらの迫真を味わえます。
健康的で生命力あふれるパワフルな法順さんの歌声を聴くたびに、
ぼくは説経の時代をさらにさかのぼって、古代へといざなわれるような気がします。
法順さんをぜひ一度生で聴いてみたいと、ずっと念じていましたが、
2年前の2月20日、初台の新国立劇場で開かれた国際民俗芸能フェスティバルに出演され、
ようやく法順さんのナマ声を実体験できました。
もっとも出演時間が短かすぎ、とても本領発揮までには到らなかったのですが。
いずれ単独公演でじっくり聴きたいという望みも叶わなくなり、残念でなりません。
心よりご冥福をお祈りいたします。
[6CD+DVD+写真集] 『日向の琵琶盲僧 永田法順』 アド・ポポロ NSK1-6, NSKDVD2 (2005)
2010-01-28 06:23
コメント(0)
コメント 0