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深化したマンデ・ポップ バコ・ダニョン [西アフリカ]

Bako Dagnon.jpg

マリのグリオ出身のヴェテラン女性歌手、バコ・ダニョンの新作が出ました。
前作“TITATI”は、古いグリオの歌を題材にした地味なアルバムながら、
アクースティックな響きを活かした巧みなプロダクションで、
アフリカン・ポップスを聴き込んできたファンをうならせる、上質な作品でした。
ぼくもすっかり感激して、ミュージック・マガジンの輸入盤紹介で取り上げ、
その後ライスからリリースされた日本盤では、解説を書かせていただきました。

そんな前作から待つこと2年。
今作も前作同様、シューぺル・ビトンの元リーダーで
ギターの名手ママ・シッソコを中心とした、弦楽器の響きを活かしたアンサンブルをバックに、
ヴェテランらしいいぶし銀の声を聞かせてくれます。

グリオの伴奏楽器といえば、コラ、ンゴニ、バラフォンといった民俗色豊かな楽器が花形ですが、
あえてこれらの楽器を使わず、複数のギターを中心にサウンドを組み立てたところがミソですね。
前作では、曲によりヴァイオリンやフルート、ハーモニカを絡ませていましたが、
今回はそうした西洋楽器との絡みはなく、カマレ・ンゴニや1弦フィドルのソクを配しています。
そういうと、ますますシブいサウンドになったのかと思われそうですが、
今回はママ・シッソコがエレキ・ギターを弾いているので、むしろ華やかな印象さえあります。

前作同様、今回もさりげなくプログラミングが施されていますが、
これがまた実に巧妙なんですよねえ。
かつてギンギンのエレクトリック・サウンドを経験した末にたどり着いた、
マンデ・ポップの深化した境地とでもいうべきプロダクションです。
プロデュースは前作のフランソワ・ブレアンに代わり、
ジャン・ラムー、ジャン=ルイ・ソランという二人が務めています。

サリフ・ケイタの新作のように、西洋人向きにわかりやすく整理するのとは、
まったく逆方向のプロダクションですが、ぼくはこの方向を支持したいですね。

Bako Dagnon "SIDIBA" Discograph 6146642 (2009)
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