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ブルースとラーガの出会い ハリー・マンクス [北アメリカ]

Harry Manx.jpg

アルバム冒頭、出だしの一声で、背中にぞわぞわっと快感が走りました。
アーシーなギターとともに絞り出される、しゃがれたオッサン声。
う~ん、どストライクなぼく好みの声ですよ。
ザ・バンドの面々やロウエル・ジョージといった名前をあげれば、想像がつくでしょうか。

そんな味わい深いヴォーカルが、スライド・ギターとオルガンを中心とする
どっしりとした南部ぽいサウンドとともに迫ってくるのだから、もうたまりません。
はや1曲目で魂もっていかれたら、続く2曲目はインドの女性歌手をフィーチャーした、
ポップ・ガザルとフォーク・ブルースをミックスしたような曲で、
思わず椅子からころげ落ちそうになりました。

な、なんなんだこの人???
なんの予備知識もなく、たまたま試聴機で聴いただけだったので、
家に帰ってあわてて調べてみました。
するとこの人、生まれはイギリスの辺境の地マン島(エンマ・クリスチャン、元気ですかぁ?)、
カナダに移住して育ち、ヨーロッパ、日本、インド、ブラジルを旅したという経歴の持ち主。

インドでは北インド古典音楽のモハン・ヴィーナ(改良ギタール)の巨匠
ヴィシュワ・モハン・バットに弟子入りし、
5年間行動を共にして、モハン・ヴィーナを習得したんだそうです。
ヴィシュワ・モハン・バットといえば、ライ・クーダーとの共演作で
グラミー賞を受賞したことで有名ですね。
最近ではラジャスターンの音楽家たちと共演した“DESERT SLIDE”で話題を呼び、
ぼくもずいぶんあのアルバムを愛聴しました。

こんな人がいるとはねー。アルバムもすでに6~7枚出しているようです。
スライド・ギタリストとして知名度の高い人のようですが、
このアルバムを聴く限り、目立ったギター・ソロを披露することもなく、
スライド・ギターをサウンドのなかに溶け込ませています
インド人女性ヴァーカルをフィーチャーしたのは2曲目とラストだけで、
ほかはアメリカーナな趣のリラックスしたフォーキーなサウンド。
自作曲が中心ですが、チャーリー・パットンの“Moon Goin' Down”をさらっとカヴァーしたりして、
やはりこの人タダ者じゃありませんね。
全10曲38分半というコンパクトさも、70年代のアルバムみたいで好感がもてます。

古典ラーガとブルースがこんなにしっくりと溶け合うなんて、想像だにしませんでした。

Harry Manx "BREAD AND BUDDHA" Dog My Cat DMCR00513 (2009)
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