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春を呼ぶアルパの響き フェリックス・ペレス・カルドーソ [南アメリカ]

Felix Perez Cardozo.JPG

戦前パラグァイ歌謡の最高峰アーティストともいえる
フェリックス・ペレス・カルドーソのCDがついに手に入りました!
かつてアルゼンチンEMIから出ていたCD“PARAGUAYO PURO”ではなく、
初期の戦前ヴィクター録音と戦後のオデオン録音の両方から編集された、
まさしくフェリックス・ペレス・カルドーソのベスト・オヴ・ベストなパラグァイ盤CDです。

“PARAGUAYO PURO”が見つからなくてねえ…。もう十数年探し続けましたが、
完全に諦めモードだっただけに、このCDの存在にはビックリですよ。
選曲も“PARAGUAYO PURO”に洩れていた代表曲がずらり並んでいて、大満足です。
エル・スールの原田さんが、パラグァイに行く若者がいることを知って、
フェリックス・ペレス・カルドーソを探して来いと命じたお願いしたおかげです。

その若者は日中40度を越す灼熱のパラグァイの空の下、CD探しに2週間奔走し、
ようやく見つけ出してきたんだそう! えらい! でかした!! パチパチパチ!!!
それほど探して、パラグァイに1店しか在庫がなかったというのだから、
こういう古いパラグァイ歌謡は、いまや現地でも見向きもされてない証拠ですね。

昨年末に出たライス盤のマリア・テレーサ・マルケスといい、
こういう古いパラグァイ歌謡がいままたCDで聴けるなんて、あー、長生きはするもんです。
前にも書きましたが、小学生の頃、父が日曜の朝になるとマリア・テレーサ・マルケスや
ロス・インディオス(パラグァイのグループです。念のため)のレコードをよくかけていたんです。
羽毛のように柔らかなアルパの響きを聴くと、一瞬にして子供の頃にタイムスリップして、
春のまばゆい朝日や、庭の木々の柔らかな緑が、ぱあっと瞼の裏に蘇ります。
それは、ぼくにとって、休日の家族の憩いの時間を象徴する音楽でした。

フェリックスが生み出した「創られた」ファルクローレというパラグァイ歌謡音楽は、当時頂点を極め、
やがてアイデンティティを主張する、「ホンモノの」フォルクローレへと、取って代わられていきます。
フェリックス・ペレス・カルドーソのナイーヴな美しさに溢れたしなやかな演奏は、
そんな失われしポピュラー音楽の古き美の結晶でもあり、
ぼくにとっては子供時代の思い出もあいまって、うたたかの夢のように響きます。

Félix Pérez Cardozo Y Su Conjunto "20 GRANDES EXITOS" F.P.C Producciones no number
コメント(4) 

コメント 4

Louie

はじめまして、Oar編集長の野上君から私の買ってきたCDについての記事が書かれていると聞いてやってきました。Louieと申します。正直あのCDでこんなに喜んでいただけるとは思っていなかったので私も嬉しいです。しかし幼い頃にそんな音楽を聴かれていたとは、なかなかレアな経験をされているんですね。驚きです。ではまたチラチラと訪れるかもしれませんがよろしくお願いします。
by Louie (2010-03-25 22:23) 

bunboni

Louieさん、ありがとうございます。
あなたのおかげで、ズイキの涙を流しているオヤジ(もしくは爺)が何人いることか!
いまでこそ古いパラグァイ歌謡なんて、まったく聴けなくなってしまいましたが、
60年代は日本盤でもけっこう出ていたんですよ。
by bunboni (2010-03-25 22:34) 

きょうこ

こんにちは。Louieつながりでやってきました。そうですか、そんなによかったとはうれしい限りです。実は私も一緒にアスンシオンの街を少し探したのです。でもどの店にも、カルドーソの曲のCDは沢山ありましたが、彼の演奏盤はないのです。パラグアイでは今もアルパやギターを伴ったセレナータが盛んですよ。少し余裕のある家庭のお誕生日や結婚式には必ずセレナータがよばれます。さすが、思う彼女の窓の下で歌うのを注文する人はいなくなったそうですが。
by きょうこ (2010-03-26 07:20) 

bunboni

インターネットと携帯の時代に、窓辺のセレナータがそぐわないのは
仕方がないんでしょうね。う~ん、でも、なんか残念だなあ。
Louieさんのブログで写真を拝見しましたが、
パラグァイにも行ってみたくなりました。
by bunboni (2010-03-26 22:54) 

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