お悔やみ ハンク・ジョーンズ [北アメリカ]
おとといの朝刊を開いて、えっ!と思った人は多かったんじゃないでしょうか。
ジャズ・ピアニストのハンク・ジョーンズが5月16日、91歳でお亡くなりになりました。
たしか今年の2月に、来日したばかりだったはず。
ご高齢にもかかわらず元気にプレイされていた様子が伝わっていただけに、残念でなりません。
ぼくが70年代にジャズを聴き始めた頃、ハンクはすでにジャズ史の生き証人のような存在でした。
なんせレスター・ヤング、チャーリー・パーカー、ビリー・ホリデイという、
伝説的なジャズ・ミュージシャンと共演し、数多くの名盤に名を残した人ですからね。
そんな華々しい経歴にも関わらず、ハンク自身は縁の下の力持ち的な存在のプレイヤーでした。
生のハンクを観たのは、70年代のグレイト・ジャズ・トリオ1回だけでしたが、
その時も控えめなステージ・マナーぶりが印象的で、
ハンクの人柄が伝わる、すがすがしいライヴ・パフォーマンスだったことを記憶しています。
自己主張をしない、控えめなピアノを弾くハンクですが、
原曲のメロディーを生かすハーモニーやタッチの美しさは、この人にしかない才能でした。
今ふと思いついたことですけど、ハンク・ジョーンズのプレイはショーロに相通じますね。
職人的なピアニストというと、トミー・フラナガンやシダー・ウォルトンも好きですけど、
ハンク・ジョーンズはぼくにとって別格的な存在でした。
70年代以降たびたび来日し、親日家となったハンクは、
大阪音楽大客員教授も務めましたが、
パナソニックのCMに起用されたのには、驚きましたね。
CMで「やるもんだ」と愛嬌を振りまく姿に、あの謹厳実直なハンクがと意外な気がしました。
ハンクのアルバムでは、リーダー作より伴奏を務めた名盤の数々がつい思い出されますが、
今夜はぼくの一番の愛聴盤である77年のミューズ盤を聴いて、ご冥福をお祈りしたいと思います。
Hank Jones "'BOP REDUX" Muse MCD5444 (1977)
2010-05-20 06:14
コメント(2)
〉伴奏を務めた名盤の数々がつい思い出されますが、
“Pres”、“Now's the Time” や“Somethin' Else”での名脇役ぶりが想い出深いです。Parkerや、Lester と共演した白黒フィルムの映像も貴重ですよね。
Jones三兄弟は、三人が夫々強烈な個性を持っており、皆、偉大な才人でした…。Montgomery三兄弟は、Wesの人気が圧倒的でしたが、この三人は仲が良かった様で共演アルバムも出しています。Jones三兄弟に、共演したアルバムってあるのでしょうか…?
by ペイ爺 (2010-05-20 11:24)
ハンクとエルヴィン、サドとエルヴィンの組み合わせは結構ありますけど、
3人揃ったのというと、61年のリヴァーサイド盤“ELVIN!” ぐらいですかね。
by bunboni (2010-05-20 12:34)