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ユニークなアフリカン・コンポーザー イドリッサ・スマオロ [西アフリカ]

Idrissa Soumaoro.jpg

イドリッサ・スマオロという名に誰それ?と思ったのですが、
マリの名門バンド、アンバサドゥールでサリフ・ケイタや
アマドゥ・バガヨコと一緒に活動していた人とのこと。
そんな人いたっけと、資料をひっくり返してみたら、
たしかにイドリッサがサリフと一緒に並んでいる、アンバサドゥール時代の写真がありました。

80年代にイドリッサが作曲した“Ancien Combattant” が大ヒットを呼んだものの、
アフリカ全土で海賊版が出回ったことでイドリサはすっかり音楽ビジネスに嫌気がさし、
盲学校の教師へ転身したんだそうです。
そのイドリサが長いブランクを経て音楽活動を再開し、
本作で3作目を数えるそうですが、これがなかなか面白いんです。

ソングライティングが巧みで、マンデ・ポップはもとより、ブルース、ラテン、フラメンコなどなど、
いろいろな音楽を吸収したメロディーを書けるという希有な才能の持ち主。
アフリカのアーティストで、こういうタイプのコンポーザーというのは珍しいですね。
アンバサドゥール時代、客の求めに応じてどんな音楽でも演奏をしたから、
いろいろな音楽が身についたというような解説がありましたが、
それだけではない、この人ならではの柔軟な消化力がモノをいっているように思います。

ブルースの“Sigui Ka Fô”、オリエンタルふうなリフが耳残りする“Bô Kolo”、
ソウル・バラードの“Awnitié”、ワスル・サウンドの“Bèrèbèrè”、
ルンバ・フラメンカの“Mbaou Fo”、アフロ・ラテンの“Femmes, Je Vous Salue”、
カリブぽい“Né Ni Musiki”、アラビックな“M’mansou”とヴァラエティ豊かな曲調を、
丸みのある落ち着いた声で歌うイドリッサのヴォーカルは、上手くはありませんが、味があります。

05年にアリ・ファルカ・トゥーレと録音した曲もあり、
レコーディングにはじっくりと時間をかけたようです。
また、それぞれの曲に的確な楽器編成とアレンジを施し、
センス良くまとめあげたフランソワ・ブレアンの仕事ぶりが光ります。
フランソワが絡んだレコーディングって、ほんとにハズレがありませんね。
伝統だけに縛られない、こんな歌謡性に富んだアフリカン・ポップもなかなかいいものです。

Idrissa Soumaoro "DJITOUMOU" Syllart Productions/Lusaffica 526442 (2010)
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