サンバ・パウリスタの大物新人 マルキーニョス・ジャカ [ブラジル]
これがデビュー作とは頼もしいですねえ。
サンパウロのアフロ・ルーツ系サンビスタ、マルキーニョス・ジャカのソロ・アルバム。
写真から察するに、30代前半といったところでしょうか。
声は若々しく、歌い回しに生硬さはあるものの、
おどけた感じのある歌いぶりなど、なかなか軽妙です。
ゲストのサンビスタたちやコーラスとかけあいでパルチード・アルトを披露するところは、
前回話題にした即興の妙味とは異なり、きちんと構成されたものとはいえ、
パルチデイロの名にふさわしい、鍛えられたノドを聞かせてくれます。
伴奏は標準的なサンバの編成にコーラス隊という、きわめてオーソドックスな陣容で、
なんら奇をてらったところのない、ナチュラルなもの。
どっしりとしたリズムが醸し出すふくよかさが、サンバ好きの頬をゆるませます。
コミュニティのなかで育まれてきたサンバの、もっとも純度の高い姿がここにありますね。
パルチード・アルトのほかジョンゴなども歌っていて、
サンバのルーツに深く根ざした内容は、80年代のウィルソン・モレイラを思い起こさせます。
最近のリオでは、こういったルーツ系サンバのアルバムがほとんど制作されなくなっているので、
サンパウロにすっかりお株を取られている感じがしますね。
そのサンバ・パウリスタの良心とも呼べる立役者が、
このCDを制作しているコロンボロ・ジア・ピラチニンガ。
サンパウロのサンバを保存・普及に努める非営利団体で、
サンビスタが多く暮らすヴィラ・マダレーナ地区に拠点を置いて活動しています。
コロンボロに注目が集まったのは、なんといっても昨年の『サンパウロのサンバの記憶』シリーズ。
そういえば、あのシリーズはまだ残り8タイトルがあって、
今年の上下期に4タイトルずつリリース予定だったはず。
コロンボロが制作したサンバ・パウリスタの大型新人
マルキーニョス・ジャカのデビュー作の仕上がりの素晴らしさに、
シリーズ残りのリリースがますます待ち遠しくなります。
Marquinhos Jaca "NÚMERO UM DO BRASIL" Tratore 20.1975.001 (2010)
2010-10-29 06:37
コメント(0)
コメント 0