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テナー・バンジョーの響き スティーヴィー・ダン [ブリテン諸島]

Stevie Dunne.jpg

テナー・バンジョーのコロコロと硬い音が跳ね回ると、心が浮き立ってきます。
アメリカの5弦バンジョーが奏でる響きとだいぶ違うのは、
アイルランドのテナー・バンジョーが4弦のショート・スケールのうえ、
フラット・ピックを使ったストローク奏法で弾かれるためなんでしょうね。
5弦バンジョーの弾き方とはぜんぜん違い、むしろマンドリンに近い奏法です。

アイルランド音楽では脇役にすぎなかったテナー・バンジョーを、
メロディー楽器として主役の座に引き上げた立役者は、
なんといっても、フォー・メン・アンド・ア・ドッグのジェリー・オコナーですけど、
いまぼくが聴いているのは、スティーヴィー・ダンという新人のデビュー作。
全編テナー・バンジョーの演奏を押し出したインスト集となっています。

自主制作盤のようですが、これが「すこぶる」クラスのスグレモノ。
ツブ立ちの良い音と、ハギレのいいリズムが、
音楽の輪郭をキリッと引き立てていて、背筋が思わず伸びます。
なんら奇をてらったところのない、オーソドックスな演奏なのに、
なんでこんなにフレッシュなんでしょうか。
1曲ごとに楽器編成を組み替え、ピアノやキーボードを使ったり、
ベース(なぜかクレジットにはない)を使ったりと、構成もよく考えられています。

新しい年を迎えるのにぴったりな、
思わず深呼吸したくなる、すがすがしいアルバムです。

Stevie Dunne "ABOUT TIME : TRADITIONAL IRISH MUSIC ON TENOR BANJO" Stevie Dunne SDB20101 (2010)
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