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ニュー・オーリンズとブルースを歌うイギリス人俳優 ヒュー・ローリー [ブリテン諸島]

Hugh Laurie_Let Them Talk.JPG

ジョー・ヘンリーがプロデュースした新作アルバムという触れ込みに、
CDジャケ裏の曲目を見て、目が点になりました。
レッドベリー、リロイ・カー、ジェリー・ロール・モートン、シスター・ロゼッタ・サープ、
J・B・ルノアー、ブラインド・ブレイク、ミシシッピ・シークス、
プロフェッサー・ロングヘア、ジェイムズ・ブッカーといった曲がずらり並んでいます。

ブラック・ミュージック好きにはたまらない選曲で、
アルバムの主は一体どんな人と思ったら、イギリスの有名なコメディアンとのこと。
アメリカにも進出していて、医療ドラマ『ドクター・ハウス』で医師役を演じている人だそうです。
ぼくは観たことがないので、知らないんですけども。

ヒュー・ローリーさん、なかなかの趣味人といったレパートリーですが、
よくよく眺めてみれば、「セント・ジェイムズ病院」「君去りし後」「スワニー・リヴァー」
「ジョー・ヘンリー」などのポピュラー寄りの曲に加え、リロイ・カーの「シックス・コールド・フィート」、
ブラインド・ブレイクの「ポリス・ドッグ・ブルース」といった、有名なブルース・ナンバーばかり。
選曲はさほどマニアックではないにせよ、ロバート・ジョンソンの「ゼイアー・レッド・ホット」なんて
ブルース・ファンが嫌う曲を取り上げるあたりは、コメディアンらしいウイットでしょうか。

果たしてこういうレパートリーを、ジョー・ヘンリーがどう料理しているのか、
楽しみに聴いたのですが、う~ん、さすがにスキはありませんね。
正直、主役の歌は味わいに乏しいですけど、ヒューが弾くピアノはなかなかドラマティックで雄弁。
バンドが奏でるアメリカーナ・サウンドも説得力十分で、有無を言わさず聞かせます。

ドクター・ジョンとアーマ・トーマスが味のあるヴォーカルを披露しているほか、
アラン・トゥーサンがホーン・アレンジを担当するなど、ゲストもゴージャスです。
ヒュー・ローリーさんもこの出来ばえには、さぞご満悦のことでしょう。

Hugh Laurie "LET THEM TALK" Warner Brothers 2564674078 (2011)
コメント(6) 

コメント 6

yucca

bunboniさんこんにちは。俳優ヒュー・ローリーのことは全く知らなかったのですがこのアルバムはニューオーリンズ愛好者の間でしばらく前から話題でした。ジョー・ヘンリーだし、あまりに参加ミュージシャンが豪華すぎ、本業は俳優だと言うし、、謎だ!と。初めは試聴も見つけられなかったのですが今はあるかな?探してみます。
by yucca (2011-06-04 13:25) 

bunboni

バックがすばらしすぎで、主役が完全に霞んでますけども、
ともかく聴きごたえは十分すぎるほどです。
by bunboni (2011-06-04 15:48) 

ホシナ


タンパ・レッドあたりのホーカム・ナンバーを選曲するのではなく、ロバート・ジョンソンのを選ぶなんてところが面白いですね。

早速、注文しないと。

by ホシナ (2011-06-05 19:22) 

bunboni

ヒュー・ローリーさんって、それほどブルースを聴きこんでいる人じゃないのかもしれませんね。
役者の余芸としては出来すぎの仕上がりに、ちょっと嫉妬をおぼえたりして。
by bunboni (2011-06-05 21:58) 

ウィル孫

この度はHughを取り上げてくださってありがとうございます(笑)


英国人であるHughがブルースを?と不審に思われる方も多いと思われますが、
彼が少・青年期を過ごした当時のイギリスは、
皆さんご存知のようにブルースの嵐が吹きまくり、
Eric ClaptonやStorns等多くの白人ブルースミュージシャンを排出しております。
もともとは良家のお坊ちゃまのHughは、クラッシックのピアノを習うことを義務付けられていましたが、
生来のはみ出し気質(幼少期、火炎瓶を作って大やけどを負うとか、
バイクを乗り回し重傷を負うとか逸話多数。)の琴線に触れるところがあったのか、
ブルースやジャズの自由な表現方法にあこがれ、
それをやりたいと先生に告げたところ、一喝され、
腹を立てたHughはハンガーストライキをして、レッスンを拒否。
という有名な逸話があります。

今51歳ですので、かなり早い時期から
ブルースを聞き込んでいたらしく、
今回の選曲は、従来からのブルースファンのためではなく、
自分のファン=あまりブルースに興味の無い中産階級の知識人に向けて
世の中にはこんなに興味深い音楽もあるんだよ
ということを知ってもらうためのものだそうです。

BBCで「Fly&Laurie」というスケッチ番組を持っていた頃から
ピアノやギター、歌でのスケッチを見せており、
今世界中で大人気の「House」(日本ではドクターハウスとしてFoxで放送されています)内でも、
Houseの真情を語らせる場面でいろんな曲を弾き語りしています。

また、ソロとしてはこのアルバムがデビューになりますが、
アメリカのドラマの人気俳優たちがチャリティのために結成したバンド
The Band For TVにも参加して、
デビッド・フォスターのプロデュースのもとアルバムデビューはすでに果たしています。
自作曲もあり、脚本、監督、作家としてもベストセラーを出しているという多彩な人です。

このアルバム「LET THEM TALK」は英・仏・独では初登場第2位を記録していますし、ヨーロッパ各国でベスト10内に食い込んでいるそうです。
プロモーションLiveも盛況だったとか。
パリやイギリスのLiveには日本からも参加した方がいるそうで、
日本人も、このヒットに寄与しているのかもしれません。
(ああ、もちろん私も購入しました)

長々と失礼しました。 

by ウィル孫 (2011-06-09 10:51) 

bunboni

懇切丁寧な解説、ありがとうございました。
by bunboni (2011-06-09 21:14) 

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