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ジャマイカ民謡を伝えたミス・ルゥ ルイーズ・ベネット [カリブ海]

Louise Bennett FP846.JPG   Louise Bennett CHILDRENS’ JAMAICAN SONGS AND GAMES.JPG

ギターをじゃかじゃか鳴らすイントロが始まっただけで、思わず顔がほころんでしまう、
ルイーズ・ベネットおばちゃんが歌うジャマイカ民謡。
「リンステッド・マーケット」「ホールド・エム・ジョウ」「ココナッツの木の下で」などの
ジャマイカ民謡を歌ったフォークウェイズ盤“JAMAICAN FOLK SONGS” を、
最近またじっくり聴き直す機会があって、その陽気なメロディーとサビの効いた歌に、
すっかり心和んでしまったのでした。

1919年生まれのルイーズ・ベネットは、ジャマイカの古い民謡や民話を採集して、
1940年代にパトワで書いた詩集を出版する一方、歌手やコメディアンとしても活躍し、
「ミス・ルゥ」の愛称で親しまれた、ジャマイカの文化的アイコンだった人。
イギリスの「ロイヤル・アカデミー・ドラマティック・アート」に入学して演劇を学んだ教養人ながら、
その歌は田舎のおばちゃん丸出しの気取りのないもので、とっても楽しいんです。
ハリー・ベラフォンテが先のフォークウェイズ盤に収められた「デイ・ダー・ライト」を聴いて気に入り、
「デイ・オー」のタイトルで歌って、世界的な空前のヒットを呼んだのは有名な話ですね。

昔、子供たちの読み聞かせにジャマイカの民話を練習していた奥さんに、
ジャマイカの民謡ってどんなの?と訊かれ、
ルイーズの"CHILDRENS’ JAMAICAN SONGS AND GAMES" を聞かせたことがありました。
ところで、なんでジャマイカの民話なんだ?と思って、奥さんが読んでいた本をのぞき見したら、
序文をルイーズ・ベネットが書いていて、びっくりしたこともありましたっけ。

Jamaica Before Ska.JPG

ルイーズ・ベネットは独立前のジャマイカで、おそらく初のレコーディング・アーティストとなった人で、
50年にイギリスのメロディスクで、カリビアン・セレネイダーズをバックに、
「リンステッド・マーケット」と「ボンゴ・マン」の2曲を録音しています。
カリプソの伴奏者をバックに従えたこの2曲は、フォークウェイズ盤と違って、
洗練されたモダンなメントぽいポップ・ソングに仕上がっていました。
この2曲は、オーディブックの『ジャマイカ・ビフォー・スカ』で聴くことができます。

Miss Lou Yes M' Dear.JPG

その後もルイーズは、ジャマイカの口頭伝承を海外で積極的に紹介し、
83年にイギリスのアイランドから、自作の詩を朗読したロンドン公演のライヴを出しています。
ざっくばらんな語り口で観客をわかせていて、コメディアンとしての一面を知ることができました。
もっとも言葉のわからないぼくには、内容はさっぱりなんですけども(泣)。
そうそう、このレコードにはリントン・クウェシ・ジョンソンが司会と歌でゲスト参加しているんですが、
リントンがいつもと違って神妙にしていて、ルイーズの存在感の大きさを実感させられます。

Louise Bennett FP6846.JPG

ルイーズ・ベネットのフォークウェイズ盤は、
いまではスミソニアン・フォークウェイズのカスタムCD-Rで容易に聴くことができるので、
ぜひ一度聴いてみてください。
“JAMAICAN FOLK SONGS” のCDは再発盤のジャケット・デザインが使われています。

[10インチ] Louise Bennett "JAMAICAN FOLK SONGS" Folkways FP846 (1954)
[10インチ] Louise Bennett "CHILDRENS’ JAMAICAN SONGS AND GAMES" Folkways FC7250 (1957)
V.A. 「ジャマイカ・ビフォー・スカ」 オーディブック AB103
Miss Lou (Louise Bennett) "YES M’ DEAR : LIVE" Sonic Sounds SON0079 (1983)
Louise Bennett "JAMAICAN FOLK SONGS" Folkways FP6846 (1954)
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