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二の腕の細いアフリカ女子 ファトゥマタ・ジャワラ [西アフリカ]

Fatoumata Diawara  FATOU.JPG

いやー、いいジャケットだなあ。
LPサイズで欲しくなるデザイン。
2011年のジャケット大賞をあげたい逸品です。

タイトル文字のレタリング、位置、大きさともに絶妙で、しかもポップ。
主役のファトゥマタのこぼれる笑顔が美しく、
蛍光灯の色かぶりで緑っぽく写っている窓ガラスと、
ファトゥマタの褐色の肌、黄色のターバンという色味のバランスがとてもいい感じ。
ブラウスの花模様の黄と緑が、ターバンや窓と同系色となっていて、
髪飾りと腕飾りの赤がいいアクセントとなっています。
う~ん、眺めるほどに、いい写真ですねえ。

ワールド・サーキットが世に出した新人女性シンガーは、
なんとワスル出身の両親のもとに生まれたというファトゥマタ・ジャワラ。
ワスルと聞いただけで触手が伸びるぼくですけど、
マリ・K7などで聞ける逞しく土臭いワスルのシンガーとは、
まったく肌合いの異なる個性の持ち主です。

ファトゥタマは十代で女優となり、19歳の時に出演した映画のヒットで、
西アフリカじゅうに知れ渡る人気スターとなった人。
演劇を本格的に勉強しようとパリに渡り、女優業のかたわら歌も歌い始めると、
しだいに歌手としても注目され、ウム・サンガレのアルバムに参加した縁から、
ウムの後押しでデビューがかなったのだそう。

そんなわけで、いわゆる伝統的なワスル・サウンドとはまったく肌合いの異なる、
インティメイトな雰囲気を持った、パーソナルな感覚の作品となっているわけです。
ワスルらしいメロディーや、カマレ・ンゴニなども登場しますけど、
そこから生み出される音楽の表情はむしろ都会的で、
まさしくパリのマリ人女性シンガー・ソングライターそのもの。
ニック・ゴールドが手がけただけに、プロダクションも丁寧でよく作りこまれています。

アフリカ音楽ファンならば、ロキア・トラオレのデビュー作をすぐ思い浮かべるように、
じっさいファトゥマタもロキアに憧れてギターを独学で勉強したのだそうで、
アフリカ新世代シンガーと呼ばれたロキアにもついに後輩が現れたということでしょうか。

伝統のしがらみから離れた立ち位置で、
伝統をもう一度たぐりよせて歌おうとするアフリカ女子の共通点は、二の腕の細さかも。
このジャケットを眺めていたら、そんなふうにも思えてきました。

Fatoumata Diawara "FATOU" World Circuit WCD086 (2011)
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